2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism and role of PROX1 in gastric cancer
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16K19930
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
植田 康司 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (00750960)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃癌 / PROX1 / MKN45 / リンパ節転移 / 脈管浸潤 |
Outline of Annual Research Achievements |
PROX1はリンパ管内皮細胞の発生・分化に必須の転写制御因子であるが、食道癌や大腸癌の予後と相関することが近年分かってきた。本研究ではヒト胃癌細胞株におけるPROX1の発現の有無や、その癌細胞の増殖能との関連性を明らかにすることを目的とした。 前年度にヒト胃癌細胞のセルラインであるMKN45細胞において、PROX1の発現を確認し、siRNAを用いてProx1を抑制する系を確立させた。PROX1を抑制した胃癌細胞では、細胞の形態に相違は認めなかったが、浸潤能・増殖能・遊走能ともに低下していた。 臨床研究において、2011年1月から2012年12月までに神戸大学病院で、胃癌に対し根治手術を施行した99例をPROX1で免疫染色を行った。PROX1の発現強弱を細胞数で振り分け、強陽性群(n=43)と弱陽性群(n=56)に分類し、後方視的に検討し臨床病理学的因子による予後の解析を行った。PROX1強陽性群では弱陽性群に比べて、リンパ節転移・癌進行度・脈管浸潤の有無に有意差をもってそれぞれ高かった。また、生存期間の分析では5年生存率、5年無病生存期間において、強陽性群で有意に低い傾向であった。これらのことから、PROX1の強陽性であることが胃癌細胞の悪性度、特にリンパ節転移の有無や脈管浸潤の有無に大きく関与し、予後と相関することが分かった。PROX1はリンパ管内皮細胞の発生に必須であることから、癌の微小環境においてリンパ管や血管の新生にPROX1の発現の有無が関係しているのではないかと考えられた。今後、どの微小環境下でよりPROX1が関与するのかを検討していく必要があると考える。 また、PROX1の発現を簡易的に調べることができれば、Prox1が新たな胃癌の腫瘍マーカーや治療戦略の標的分子となり得る可能性が考えられた。
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