2016 Fiscal Year Research-status Report
膵癌術後再発予防のための新規治療の開発‐癌幹細胞マーカーDclk1に注目して‐
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16K19932
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
竹本 圭宏 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50622213)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 膵癌 / Dclk1 / chk1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Dclk1は大腸癌の癌幹細胞マーカーとして報告されたが、膵癌の前癌病変である PanINの増殖にも関与するリン酸化蛋白である。膵癌は未だに予後不良の癌であり、膵癌に対する抗癌剤として従来からGemcitabine が用いられているが、その効果は十分とはいえない。本研究は膵癌術後再発予防を目的とした新規治療の開発のため、GemcitabineにDclk1阻害薬を併用することで増殖抑制効果が増強されるか否かを評価した。 2016年度は、ヒト膵癌細胞株である MiaPaca2、AsPC1、BxPC3 を用いて、GemcitabineにDclk1 阻害薬である LRRK2-IN-1を併用した効果をCell proliferation assay、Western Blot(WB)、Flow cytometry(FC)などで評価した。Gemcitabine単剤に比べ、Dclk1 阻害薬を併用すると細胞生存率やコロニー形成能は有意に低下した。我々はその機序として細胞周期に関与する Chk1 のリン酸化(pChk1)に注目した。WBではGemcitabine 単剤によりpChk1の発現は亢進し、Dclk1 阻害薬を併用するとpChk1の発現は抑制された。FCでは、GemcitabineによりDNA損傷を生じた細胞(H2AX陽性細胞)が pChk1の上昇により細胞周期が停止し、S期に留められていた。しかし、Dclk1阻害薬を併用すると DNA損傷を受けた細胞は、修復されることなく細胞周期が進行し、細胞死が引き起こされることが明らかとなった。以上より、従来から用いられているGemcitabineにDclk1阻害薬を併用することにより、膵癌細胞の増殖抑制効果が増強した。 2017年度は動物モデルおよび臨床検体を用いた検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①マウス担癌モデルの確立に時間がかかっている。 ②臨床での膵癌手術症例が少ないため、手術検体の確保が困難な状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
①皮下腫瘍など様々な担癌モデルでの作製を試みる。 ②過去の手術検体でのDclk1の発現を免疫染色で評価してみる。
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Causes of Carryover |
本年度の実験内容に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬の変更により、2706円未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
この未使用額については、平成29年度の実験試薬の購入に充てる。
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