2016 Fiscal Year Research-status Report
HSP27を標的に5-FU耐性を克服する新規薬剤の臨床化に向けた基礎研究
Project/Area Number |
16K19953
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
浅田 祐介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (50649952)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 化学療法 / 耐性 / 5-FU / HSP27 |
Outline of Annual Research Achievements |
比較的5-FUに対する感受性が高く、HSP27発現量が低いヒト大腸癌細胞株WiDrに5-FUを曝露し、5-FU耐性株を樹立した。具体的には30、75、150μg/mlの3種類の濃度の5-FUをWiDrに24時間曝露させ、生存した細胞を培養した。親株(WiDr-P)および樹立に成功した3種類の細胞(WiDr-R30、-R75、-R150)のIC50はそれぞれ2.4、15.5、23.4、46.9μg/mlであり、濃度依存的な耐性の獲得が確認された。WiDr-PおよびWiDr-R150におけるHSP27発現をPCRおよびWestern blotで評価したところ、遺伝子レベル(0.13 vs 0.33、p<0.05)、蛋白レベル(0.70 vs 1.49、p<0.05)ともに、WiDr-R150でHSP27発現が有意に増強していた。 すなわち、ヒト大腸癌細胞株であるWiDrに5-FUを24時間曝露させることで5-FU耐性株の樹立に成功した。また、耐性株では親株と比較してHSP27発現が増強しており、この誘導されたHSP27が5-FUに対する獲得耐性出現に関与している可能性が示唆された。 今後、耐性株で誘導されたHSP27をターゲットとした新たな治療法について検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究計画調書にて策定した平成28年度の内容は上記のごとく達成された。平成29年度の内容、すなわち「耐性株で誘導されたHSP27をターゲットとした新たな治療法についての検証」への移行の支障はなく、既に開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のごとく研究進行状況は計画通りであり、現在特に変更等は予定していない。
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Causes of Carryover |
別記のごとく平成28年度の研究計画は比較的実験反復等が少なく順調に達成された。そのため、物品調達・使用等が効率的に行えたことが計画よりもやや使用額が下回った要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の成果をもとに、平成29年度は計画のごとくさらに臨床応用可能な検討を行っていく予定であり、実験反復等を要することが容易に予想される。差額等についてはこれらに適正に充当していく予定である。
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