2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of diagnostic apparatus using Raman spectroscopy for colorectal cancer.
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16K19958
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 純人 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (80769315)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの実験で安定したラマンスペクトルを検出可能となった。またレーザーの照射部位の組織の安全性も再度確認した。得られたラマンスペクトルの形状は,再現性を認め信頼性を確認できた。その結果、1064nmの近赤外励起光を用いたラマン分光法にて,正常腸管組織46か所と大腸癌組織48か所を測定した。得られたスペクトルは、そのスペクトルを構成する主成分を分析し抽出し、その主成分の中で、判別分析に応用が可能である10種類の主成分を解析する主成分分析を用いた。さらにその10種類の主成分を用いて、それぞれの試料から得られたラマンスペクトルが良性か悪性かを診断する判別分析を施行し,感度87.5% 特異度82.6% 精度 85.1%で正常組織と癌組織とを判別可能であった。さらに早期癌と進行癌との鑑別も可能とした。 得られたラマンスペクトルは800 cm- から1800 cm-と幅広い解析範囲が必要だったため、分析まで時間がかかっていた。将来、臨床応用するためにも、分析時間の短縮が必要であり、われわれは、この分析範囲を分割して、解析範囲を縮小させることができないかを検討した。集積を追加して、正常腸管組織88か所と大腸癌組織80か所の測定結果を用いて分析し、結果として10分割したうちの3領域を合わせて主成分分析を施行することで、良悪性の良好な判別をすることができ、分析時間を短縮することができた。 さらに大腸組織だけではなく、その周囲組織、とくに腸管周囲に多く存在している腸間膜脂肪組織についても解析し、腸管と鑑別するためのスペクトルを集積した。 本研究は臨床応用を目指して進められ、そのために必要なさまざまな結果が蓄積された。これら結果は有用であったが、臨床で使用するまでは至らなかった。今後は研究を継続することでこれらの技術を発展させていきたい。
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