2016 Fiscal Year Research-status Report
胃神経内分泌細胞癌における新規バイオマーカーに関する研究
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16K19960
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Research Institution | Shizuoka Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
幕内 梨恵 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 医師 (50723235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃癌 / 神経内分泌細胞癌 / 遺伝子発現 / 遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
計104例の胃癌切除検体の全エクソン解析、全遺伝子発現解析を行なった。全エクソン解析はIon Protonを用い、全遺伝子発現解析はMicroarrayを用いた。104例のうち胃神経内分泌細胞癌(Neuroendocrine carcinoma; NEC)9例のプレパラートを確認し、腺癌の混在のないNECのみを検体として採取できている7例を抽出した。またコントロールとして腺癌15例を抽出した。遺伝子解析の結果、Microsatellite instability (MSI)であった症例(NEC 1例、腺癌2例)を除外した。最終的にNEC 6例、腺癌13例の合計19例を対象として、NECと腺癌の遺伝子変異、発現を比較した。 遺伝子変異解析の結果、NECは腺癌に比べて有意に遺伝子変異数が多かった(98.0 ± 32.7 vs 62.6 ± 75.7, p=0.023)であった。また両群とも最も多い変異遺伝子はTP53であったが、NECの方が腺癌よりも有意に変異率が高かった(100% vs 46%, p=0.044)。TP53以外に、NECに共通してみられる遺伝子変異は認められなかった。しかし、NECのみで変異を認めた遺伝子には、神経に関連する遺伝子が多かった。 遺伝子発現解析結果を用いてOPLS-DA法で判別モデルを作成した結果、NECと腺癌を明確に分離することが可能であった。Sプロットで可視化し、NECに特徴的に発現している35遺伝子を同定した。これらの遺伝子の多くは神経に関係する遺伝子であった。このうちCPLX-2(Complexin-2)は免疫組織学的染色で、NECの腫瘍細胞に特異的な蛋白が発現していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた、胃腺癌と胃NECの遺伝子変異・遺伝子発現の比較を終了した。NECは遺伝子変異数が腺癌と比較して多いという特徴は認められたが、NECの特徴的な遺伝子変異は同定できなかった。新たに得られた症例を追加し遺伝子変異候補の検証を行う予定である。 遺伝子発現解析では、NECと腺癌が明確に分離されることを示し、それに関与する遺伝子群を同定した。またこれらのうちCPLX-2が実際の腫瘍細胞でNECに比較的特異的な蛋白発現を示すことを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの研究でCPLX-2が新しい診断マーカーの可能性があることを示した。今後、過去に得られた当院のパラフィン固定組織標本を用いてNECと腺癌のCPLX-2の免疫組織学的染色を行い、診断マーカーとしての有用性を検討する。診断が見落とされているNECを洗い出すため、過去の腺癌の組織標本の見直しを行い、最終的にNEC約50例及び対象の腺癌約50例に対してCPLX-2の免疫染色を行う予定である。CPLX-2発現と腫瘍の進行度、生存転帰との関連についても検討する。 さらに、新たに得られた症例を追加し症例数を増やして、遺伝子変異・発現解析を行う。発現解析により新たな候補遺伝子が同定できた場合、同様にNEC, 腺癌の免疫組織学的染色を行い蛋白発現を検証する。遺伝子変異解析により候補遺伝子を同定し、過去に得られたNECのパラフィン固定組織標本を用いてPCR法・Sanger法により変異の有無を確認する予定である。
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Causes of Carryover |
予定よりも試薬などの購入金額が低かったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画よりも症例数と免疫組織学的染色の遺伝子増やして研究を続行する。また研究成果を発表するため、国内外の学会への旅費や論文の印刷代などに使用する予定である。
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[Presentation] Comprehensive analysis of gene mutation and expression profiles in neuroendocrine carcinoma of the stomach2017
Author(s)
Rie Makuuchi, Masanori Terashima, Masatoshi Kusuhara, Takashi Nakajima, Masakuni Serizawa, Keiichi Hatakeyama, Sanae Kaji, Makoto Hikage, Masanori Tokunaga, Yutaka tanizawa, Etsuro Bando, Taiichi Kawamura, Keiichi Ohshima, Kenichi Urakami, Ken Yamaguchi
Organizer
日本胃癌学会
Place of Presentation
広島国際会議場(広島県、広島市)
Year and Date
2017-03-09