2017 Fiscal Year Research-status Report
二次性大動脈食道瘻の病因解明と早期診断システムの構築
Project/Area Number |
16K19963
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
早津 幸弘 東北大学, 大学病院, 助教 (50747433)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 二次性大動脈食道瘻 / LDF / TEVAR |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は前年度作成した食道粘膜血流センサプローベおよび動物実験モデルを使用し動物実験を行なった。平成28年に作成できなかった動脈瘤破裂モデルは、頸部からバルーンカテーテルを挿入し縦隔内で膨らませることにより動脈瘤が破裂した状態を再現性をもって作成することができた。急性実験はステントグラフトモデル、動脈瘤破裂モデル各群6頭にて行なった。全身麻酔をかけた後に血流センサを使用しX線透視にてセンサを誘導し食道の血流(上部・中部・下部)を計測して、コントロールデータを得た。食道粘膜血流を測定すると同時に心拍数、動脈圧、肺動脈圧、心拍出量を計測した。コントロールデータを測定後、動物実験モデル作成し、ステントグラフト挿入直後、1時間後、2時間後に上部、中部、下部の食道粘膜血流を計測した。コントロールデータとの比較で、ステントグラフトモデルではステントグラフト挿入後、全てのテータポイントにて有意に食道粘膜血流の低下を認めた。 動脈瘤破裂モデルでは、全体的な食道粘膜の血流低下に加え、血腫による外圧排が引き起こす局所的な血流低下を証明することが目的であった。しかし、X線下ではセンサプローベの測定位置を、各測定ポイントで再現性をもって固定することができず、その証明はできなかった。来年度測定方法やセンサプローベの改良が必要であると考えられた。実験後には実験動物を犠牲しさせて食道の病理標本を作製した。食道壁の虚血の変化は急性実験では確認できなかった。 平成30年度の実験では工学的実験および動物実験に加え、改良したセンサプローベの工学的実験(耐久性や操作性の確認)を行い、収集したデータを解析する。最終的なデバイスを作成し食道血流モニタリングシステムを確立すべく、臨床研究を行う。倫理委員会に提出する書類は平成29年度中に作成を開始している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験を行い、急性実験においてTEVAR後の食道粘膜血流の低下を証明することができた。また、作成したセンサが十分に臨床応用可能であると考えられた。慢性実験での血流低下や局所的な食道粘膜血流の低下はまだ証明できていないものの、慢性期や局所的な血流低下に関しては異種間の血管解剖の相違による側副血行路の存在も考えられ、必ずしも動物実験でのデータとして必要がない可能性もある。今後、慢性実験の必要性について検討が必要である。 現在、臨床試験にむけて倫理委員会への提出書類の作成も行なっており、おおむね順調に進展していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の前半に倫理委員会の資料作成を行う。倫理委員会への申請前に、臨床研究推進センターと協議し研究内容の修正などを行い、本研究の臨床研究へむけて準備を進める。センサの修正や安全性試験が必要際には工学部と共同して行う。
|
Causes of Carryover |
デバイス作成及び実験動物であるブタの購入に使用した。次年度も動物実験を行う予定があり、動物の購入費として繰り越している。
|