2016 Fiscal Year Research-status Report
CFDを用いた大動脈解離に対する新しい治療戦略の構築
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16K19965
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阪本 朋彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (40644993)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 4D flow MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
大動脈解離の発生には解剖学的に、胞状中膜壊死の関与が言われていたが、中膜の変性がその病態に深く関係していることが最近の研究で分かってきた。一方で、大動脈解離発症後の大動脈壁の経時的変化に関してはほとんど報告されていない。しかし、近年、大動脈解離に対するTEVARが行われるようになり、急性期と慢性期の大動脈解離に対するTEVAR後の形態的変化が指摘されるようになった。急性期と慢性期を比較すると、真腔の拡大かつ偽腔の退縮(Aortic remodeling)において、急性期にTEVARを施行したほうが、よりremodelingが起こりやすいと報告されている。ただ、このremodelingは形態的変化を取られているのみで、なぜこのような変化が起こるのかについては、検討されておらず、根本的な流体力学的検討は皆無である。また大動脈解離における流体力学的臨床研究は皆無に等しく、基礎的研究においてもモデル作成の困難さから少数の研究に留まっている。 大動脈解離の発症が欧米と比較して3倍高率である本邦で、未だ確立された治療戦略がないことは大きな問題である。そこで根本的原因因子と考えられている流体力学的研究を行うことは極めて意義があると思われる。 またB型大動脈解離における流体力学的解析を侵襲性のない4D flow MRI,4D-MDCTおよびCFDの技術を用いて解明し、遠隔期の偽腔の拡大を予測することは学術的に極めて重要で、独創的である。さらに、今後の同疾患の治療体系を変えうるという意味で臨床的意義も非常に高い。 本研究において、現時点で慢性大動脈解離症例に対し、特にステントグラフト術前に血管造影を行った際に、偽腔造影を行い、さらに偽腔圧および真腔圧を計測している。また、現在5例の症例に対し、4D-flow MRI検査を施行し、その画像解析ならびにそこから得られる真腔圧および偽腔と、実臨床での血管造影の際に得られた結果のvalidateを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大動脈解離における流体力学的臨床研究は皆無に等しく、基礎的研究においてもモデル作成の困難さから少数の研究に留まっている。本研究において、現時点で慢性大動脈解離症例に対し、特にステントグラフト術前に血管造影を行った際に、偽腔造影を行い、さらに偽腔圧および真腔圧を計測している。また、現在5例の症例に対し、4D-flow MRI検査を施行し、その画像解析ならびにそこから得られる真腔圧および偽腔と、実臨床での血管造影の際に得られた結果のvalidateを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらには今後、ブタを用いて解離性大動脈瘤モデルを作成し血管造影検査を行い大動脈解離が形成されていることを確認する。さらには大動脈解離作成後3日後に4D flow-MRIを撮影し、同日にブタを仰臥位にて鼠径部を切開。大腿動脈からカテーテルを挿入し、真腔および偽腔の圧の実測値を測定し、MRIの測定値とのvalidateを行う。 また術後1ヶ月、3ヶ月において4D-MDCTを撮影し、大動脈形態の変化を測定する方針である。
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Causes of Carryover |
現時点では主に研究用消耗品を執行しており、動物購入しておらず、上記使用額となっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後、動物購入や動物実験の際に必要なカテーテル等、付随する物品購入を行う予定である。
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