2016 Fiscal Year Research-status Report
フリーラジカルによるステント内再狭窄予防のための低侵襲治療の開発
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16K19971
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 啓太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80770859)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血管内治療 / 末梢血管疾患 / フリーラジカル / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
超音波照射による血管平滑筋細胞への細胞傷害作用の確認を行った。超音波そのものによる細胞障害作用を評価するために、A431(ヒト扁平上皮癌細胞)に1MHzの超音波を照射した。超音波のintensityを0.1、0.3、0.6、0.9に設定し、照射時間を15秒、30秒、60秒として、各条件でのA431の細胞数の変化を測定した。各条件で4回ずつの照射後の細胞数の変化率を算出した。各条件での細胞数の変化率は4回の測定の平均値とした。同様の実験を培養血管平滑筋細胞に対して行い、細胞障害作用の最も少ない超音波の設定(intensity、照射時間)について検討した。結果、Intensity、照射時間と細胞障害には明らかな相関関係は認めなかった。 また、予備実験で行っていたミニブタ腸骨動脈への金属ステント留置実験では、予想以上に内膜肥厚を来すことが確認されており、頸動脈へ金属ステントを留置した際の脳虚血の可能性も危惧された。そのため、追加予備実験として、ミニブタ腸骨動脈に金属ステントを留置し、長期飼育することで経時的に内膜肥厚を観察し、適切な内膜肥厚の時期を検討する方針とした。現在までに3頭のミニブタに金属ステントを留置しており、金属ステント留置後6週、12週、24週に血管内超音波検査を施行し、経時的な内膜肥厚を観察。現在長期飼育中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記研究実績概要の通り、追加の予備実験を要したため、当初の実験計画から若干の遅れが生じている。in vitroの実験と大動物実験によるステント留置手技獲得を同時並行で行うことで、実験の効率化を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
超音波照射による細胞障害性の検討ではintensity、照射時間との相関関係を明らかすることが出来なかったため、実験精度を上げる必要がある。具体的にはステントを浸したAPF溶液に超音波を照射した際の干渉の評価や、ステント切片の量の設定条件、さらには超音波の設定条件を見直し、データを蓄積していく予定である。 大動物実験においては現在遂行中の予備実験の結果を解析することで、内膜肥厚の至適時期を決定するとともに、ミニブタの頸動脈へのステント留置手技獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
大動物実験の回数が予想より少なかったため繰越が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大動物実験における購入費や維持費、また実験に関わる人件費や、学会における発表などの旅費に使用する予定である。
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