2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K19994
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
伊藤 嘉朗 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医師 (90733014)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 硬膜動静脈瘻 / 血管新生因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
硬膜動静脈瘻の原因や病期進行に血管新生因子が関与していると考えられている。本研究の目的は、硬膜動静脈瘻の病態を血管新生関連因子に基づいて解明することと硬膜動静脈瘻の内科治療の可能性を模索することである。 本研究と平行して、硬膜動静脈瘻の臨床例において脳血管内治療で経静脈アプローチを行った際に病変部位(罹患静脈洞)と大腿静脈の血液を採取して、得られた血清から血管新生因子の発現についてRayBiotech社のHuman Angiogenesis Array C1000をもちいてサンドイッチELISA法で網羅的に解析を行った。その結果、罹患静脈洞では大腿静脈と比べていくつかの血管新生因子および抑制因子の増加もしくは抑制を認めていた。さらには、病期の進行や罹患静脈洞によって血管新生因子の相違がある可能性が指摘された。これまでの結果ではAngiogenin、Rantes、 VEGF-R2、 TIMP-2が関与していることが指摘された。本疾患の病態解明において、いくつかの血管新生因子が標的となり得る可能性が高いと考えられる。 H28年度は硬膜動静脈瘻モデル作製を行った。従来から報告されている方法(一側の頚動脈と頚静脈の吻合、対側の頚静脈結紮、静脈洞の閉塞)で作製した。モデル作製の手技は高い確率で行うことができたが、硬膜動静脈瘻形成の発現性が低かった。現在は硬膜動静脈瘻の発現時期の検証をおこなっている。さらには今後モデルの血管新生因子の測定を行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
モデル作製においては従来から報告されているように、頚動静脈の吻合と静脈洞の閉塞を行うモデルを作製している。しかしながら、硬膜動静脈瘻の発現性が低いために、モデルの血管新生因子の計測には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
硬膜動静脈瘻は病態の進行度によって分類されているが、人工的に作製した硬膜動静脈瘻モデルでは放射線学的評価と病理学的評価のみで病態の進行度を判定することは困難である。そのため、硬膜動静脈瘻モデルにおける血管新生因子の発現を計測して,臨床例から得られているデータを用いることで病態の進行度の判定が可能になる。とくにこれまでの臨床データでは、血管新生因子、抑制因子の関与が推測され放射線学的評価と病理学的評価によって硬膜動静脈瘻の有無を判定して生物学的評価(血管新生因子)によって病態の進行度を判定することで、各病態に応じた治療効果判定が可能になる。 モデル作製が困難な可能性があるため、硬膜動静脈瘻の臨床例から得られたサンドイッチELISA法で得られたデータを元に、検証する血管新生因子に焦点を絞って、in vitroでの内皮細胞実験を平行して行っていく。具体的には内皮細胞に各種ストレス(低酸素、シェアストレスなど)を加え、血管新生因子の変化を検証することで、硬膜動静脈瘻に関わる因子や治療の手がかりを模索する。
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Causes of Carryover |
H28年度は硬膜動静脈瘻モデル作製を行った。従来から報告されている方法(一側の頚動脈と頚静脈の吻合、対側の頚静脈結紮、静脈洞の閉塞)で作製した。モデル作製の手技は高い確率で行うことができたが、硬膜動静脈瘻形成の発現性が低く、モデルにおける血管新生因子の計測が行えていない。現在は硬膜動静脈瘻の発現時期の検証をおこなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
再度適切なモデル作製を検証して、モデルにおける血管新生因子の発現を計測して、臨床例から得られているデータを用いることで病期の進行度を判定する。 in vivoでの検証と平行して、内皮細胞に各種ストレスを加えて血管新生因子の発現を検証して、硬膜動静脈瘻に関わる要因の手がかりを模索する。
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