2016 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫の不均一性に対する画像・病理・遺伝子の統合的解析
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16K20006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
有田 英之 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (60570570)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経膠腫 / 不均一性 |
Outline of Annual Research Achievements |
成人神経膠腫の主にWHO grade II-IIIの症例約200例を対象として、放射線画像-病理診断および遺伝子変異のデータセットを形成した。これらの神経膠腫例に対しIDH1/2変異の有無、1p19q完全共欠失の有無、TERTプロモーターの変異の有無などを検索し、星細胞腫系を示すIDH1/2変異のみの群、乏突起膠腫系を示すIDH変異型かつ1p19q完全共欠失をもつ群、およびIDH1/2変異のない腫瘍群の3群に分類した。IDH1/2変異のみの腫瘍は約32%、IDH変異および1p19q完全共欠失をもつ腫瘍は約33%、IDH1/2野生型の腫瘍は全体の約35%を占めていた。これらの腫瘍において、従来報告されている所見と同様、臨床的に予後が異なり、IDH1/2変異かつ1p19q完全共欠失のある腫瘍、IDH1/2変異のみの腫瘍、IDH1/2野生型の順に生存期間が長いことが確認された。さらに、これらの腫瘍群ごとで、放射線画像(MRI等)における、差異を検討すべく、画像解析をおこなっている。画像解析においては、腫瘍の位置情報、造影の有無、境界の明瞭さなどの評価をおこなっている。IDH1/2変異型の腫瘍は、IDH1/2野生型の腫瘍より前頭葉に多く、また、IDH1/2野生型の腫瘍はより深部白質に発生しやすい傾向があった。さらに解析対象の拡大(対象疾患を膠芽腫などに拡大)およびサンプルの収集・増加に加え、詳細な解析をおこない、各群ごとおよび各個体ごとで画像や病理における腫瘍内不均一性と神経膠腫においてキーとなる分子データのプロファイルなどとどのように関連があるかなどを検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの集積ペースがやや遅れているが、画像解析などで一定の所見などが得られており、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
定位的に採取されたサンプルをより多く集積し、一個体内の腫瘍内における不均一性について十分な検討が行えるようにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
ゲノムコピー数や次世代シークエンサーによる解析は、解析効率の観点から、一定のサンプル数が確保されてからの方が好ましいと考え、次年度に購入することとなった。このため、これらの試薬の購入費用分に差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度における差額分に関しては、次年度に一括したゲノムコピー数解析などの試薬の確保に充当される予定である。
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