2016 Fiscal Year Research-status Report
神経栄養因子高発現間葉系幹細胞の細胞移植によるALSおよび虚血性脳卒中治療の試み
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16K20011
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中西 真実 鳥取大学, 医学部, プロジェクト研究員 (70749473)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ALS / 神経変性疾患 / 幹細胞移植 / 間葉系幹細胞 / 人工染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
・ALSモデルマウスへのHAC-MSC細胞シート移植と臨床評価 100日齢ALSモデルマウスにHAC-MSC細胞シートの移植を行った。対照群には,シャムオペレーションを行った。その結果,移植群において発症日齢,死亡日齢,後肢反射スコアの改善傾向が認められたが,有意差には至らなかった。有病期間,体重変化は両群間で差異は見られなかった。 ・移植片の分化と宿主への影響の評価 野生型マウスへ移植を行い,移植1~7 日後に脳を摘出した。凍結切片を作成し,免疫 組織化学染色を行った。移植細胞の一部はIba1陽性を示すことがわかった。また移植群とシャムオペレーション群において,ホストのマイクログリアの増加が見られ,手術侵襲の影響と考えられた。移植群では反応性アストロサイトの浸潤は軽微にとどまり,HAC-MSCの細胞保護効果によるものと考えられた。また移植部の大脳皮質を切り出し,細胞生存シグナルのウェスタンブロット解析を行った。その結果,リン酸化 Akt の有意な増加が確認された。更にin vivo 光イメージングを用いて,ホストマウスを生かしたまま移植片由来の生物発光を計測することに成功した。移植後0日目から7日目にかけて、シグナルが増加する傾向があり,移植片が7日間にわたって良好に生着していると考えられた。また移植後14日目においても移植片由来の蛍光が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度内に達成を目指した項目については,概ね達成することができた。 当初の計画ではリアルタイムPCRによる解析を行う予定であったが,予備実験の結果,適切な内在性コントロールの設定が困難であることがわかり,中止した。 また当初の計画にはないin vivo 光イメージングを用いた解析を行い,ホストマウスを生かしたまま移植細胞を長期間経時的に観察する方法を確立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の検討において,ALSモデルマウスへHAC-MSC細胞シートを移植することで得られた治療効果は,先行研究に比べ限定的だった。HAC-MSCは神経栄養因子を強く発現する細胞であるため,生着期間を延ばすことでより治療効果を向上できると考えられる。HAC-MSC細胞シートの生着期間をより延ばすための移植手法の最適化を行い,細胞シートをより長く生存維持させる条件を見出したいと考えている。現在,血管内皮前駆細胞とHAC-MSCの共移植を検討しており,そのための細胞調整を進めている。移植片は,in vivo光イメージングを用いて長期観察を行い,移植手法を評価する。また並行して,マウス脳カテーテル慢性留置による複数回脳室投与についても,予備実験を行い,手法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではリアルタイムPCRによる解析を行う予定であったが,予備実験の結果,適切な内在性コントロールの設定が困難とわかり,中止した。それに伴い,実施予定だった委託実験は行わないことになった。実験期間を加味し,本年度使用するよりも次年度に使用した方が良いと判断した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本来の計画と並行して,昨年度新たに確立したIVISによる解析法を進めていく。この解析費用に繰り越された研究費をあて,前年度実施できなかった解析項目の補完を進める。
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Research Products
(2 results)