2016 Fiscal Year Research-status Report
MRAを用いた数値流体力学解析による未破裂脳動脈瘤の無侵襲予後予測法の確立
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16K20024
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
森 太志 岩手医科大学, 医学部, ポストドクター (20633556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 数値流体力学解析 / 磁気共鳴血管造影 / 未破裂脳動脈瘤 / 壁せん断応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、数値流体力学(CFD)解析によるCT血管造影(CTA)を用いた脳動脈瘤の破裂リスク予測が試みられている。脳動脈瘤のCFD解析において、元画像にCTAを用いるのがゴールドスタンダードであるが、放射線被曝や造影剤副作用のリスクがあるため、検診などで広く行うことは現実的ではない。一方、高磁場3 Tesla装置の登場や装置性能の向上によって磁気共鳴血管造影(MRA)の画質が大幅に改善したが、MRAによる脳動脈瘤のCFD解析は未だほとんど試みられていない。そこで本研究では、無侵襲なMRAを用いた未破裂脳動脈瘤に対するCFD解析を行い、MRAによる未破裂脳動脈瘤の無侵襲予後予測法を確立することを目的とした。 未破裂脳動脈瘤を有する6症例を対象にMRAとCTAから血流領域を抽出後、脳動脈瘤を含む血管モデル形状を再構築し非定常流解析を行った。得られた結果からCFD解析における破裂に関連する指標である壁せん断応力(WSS)とWSSの空間勾配(WSSG)の最小値、振動せん断指数(OSI)の最大値を算出し、MRAとCTA間の相関と一致性を検討した。 瘤壁の各CFD指標分布は、MRAとCTAにおいて視覚的に同傾向であり、MRAにおいても破裂リスク予測が可能であることが示唆された。また、WSSとWSSGは相関係数および級内相関係数は高値を示したが、OSIは低値であった。 未破裂脳動脈瘤のCFD指標のうちWSSとWSSGはMRAとCTAで高い相関および一致性を示した。MRAはCFD解析の元画像としてCTA代替となる可能性があり、無侵襲な脳動脈瘤破裂リスク予測法として有望と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
同患者のMRAおよびCTAにおける非定常流解析は、1症例あたり計算時間が24時間程度かかる。本年度はMRAとCTAの適切な形状抽出パラメータとCFD解析の境界条件について検討をおこなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は前向き研究であり、撮像されるCTAとMRAを用いて順次CFD解析を行い、MRAによる未破裂脳動脈瘤の破裂リスク予測法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度にワークステーションPCと血管形状編集ソフトウェアの費用が予定よりかかり、次年度から既に前借り請求しており、その差額を次年度に繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、1年目に購入した血管形状編集ソフトウェアの保守費用に充てるとともに研究成果を発表するために学会発表(旅費)および学会誌(英文校閲費、投稿料)を予定している。
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