2016 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞を用いた悪性グリオーマに対する遺伝子細胞治療の基礎的研究
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16K20026
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田村 亮太 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60649961)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | glioma / HSVtk / iPS / bystander effect / suicide gene therapy |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性神経膠腫は最も難治性の悪性腫瘍であり、現在の標準治療である脱落症状を呈さない範囲での最大切除、temozolomideによる化学療法、放射線治療による集学的治療では不十分で予後は未だ約15ヶ月に過ぎない。周辺脳への強い浸潤性があり、抗癌剤・放射線治療にも抵抗性示す。根治の為には腫瘍辺縁脳に浸潤する腫瘍細胞の根絶が重要であり、効果的な新規治療法の開発は急務である。我々はinduced pluripotent stem cell(iPS細胞)から分化誘導したNeural stem cell (NSC)と自殺遺伝子治療(herpes simplex virus thymidine kinase(HSVtk) / Ganciclovir (GCV))を組み合わせた悪性神経膠腫に対する遺伝子細胞療法の開発をした。NSCは腫瘍細胞に高い遊走能を持つことが知られており、浸潤性の強い悪性神経膠腫に対して、魅力的な治療用細胞と言える。 ヒトiPS細胞由来のNSCにLentivirusを用いてHSVtkを導入し、ヒト脳腫瘍モデルマウスに移植すると、GCV投与により明瞭な殺腫瘍効果(bystander effect)を認め、著名に生存期間を延長させることに成功した。また、遺伝子細胞療法を行うにあたり、移植したNSCの生体内での生存の有無を検証する必要があり、治療終了後の脳組織内で、移植したNSCの残存がないことも確認し、本治療法の安全性も示した。 我々が考案した遺伝子細胞療法は、移植したiPS由来NSCも死滅するため、安全性が高い治療法であり、幹細胞を用いた再生医療に直接応用でき汎用性・将来性が高く将来iPS細胞を用いた遺伝子治療のプラットフォームになりうる研究である。
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