2016 Fiscal Year Research-status Report
MR灌流画像による脳腫瘍の定量的鑑別と術中迅速病理診断支援の検討
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16K20028
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
村山 和宏 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (40622931)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MR灌流画像 / 神経膠腫 / 中枢神経悪性リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳腫瘍の定量的鑑別に有用な放射線学的指標(ラジオロジカルマーカー)を明らかにするとともに、この手法を術中迅速病理診断支援に応用することを目的として、DCE-MRI(permeability imaging)とDSC-MRI(CBV)の2種類のMR灌流画像による悪性神経膠腫、中枢神経悪性リンパ腫の定量的性状解析、②病理組織所見との対比、③脳腫瘍の定量的鑑別に有用なラジオロジカルマーカーの検討を行った。病変部にマニュアル操作による関心領域を設定しCBV, Ktrans, Vp, Ve, KEPの各パラメータを測定した。各灌流画像マップにおいて病変内部は必ずしも均一ではないため、平均値±SDでは計測部位によって結果に差違が生じる可能性があり、ヒストグラム解析を用いて適切なパーセンタイルでの計測値を算出した。ヒストグラム解析ではROI内の灌流状態をより正確に表現していると考えられ、脳腫瘍の定量評価にはヒストグラム解析は必須であると考えられた。解析には専用の医用画像処理ワークステーションを用いて計測値の定量解析を行った。術後の病理組織所見に基づき定量解析結果を用いて統計学的有意差を検定し、鑑別に有用なパラメータとカットオフ値を検討した。その結果、悪性神経膠腫はKtrans低値、CBV高値、悪性リンパ腫はKtrans高値、CBV低値を示す傾向にあった。更にKtrans、CBVの両者を併用することで、悪性神経膠腫と悪性リンパ腫をより高い感度で鑑別することが可能であることが示された。従ってKtransを含むDCE-MRI及びDSC-MRI(CBV)の組み合わせによる評価法は、悪性神経膠腫と悪性リンパ腫の鑑別において有用なラジオロジカルマーカーであると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の内容については、論文タイトル“Differentiating between Central Nervous System Lymphoma and High-grade Glioma Using Dynamic Susceptibility Contrast and Dynamic Contrast-enhanced MR Imaging with Histogram Analysis”でMagnetic Resonance in Medical Sciencesに掲載が予定されており、概ね順調な進捗状況である。今後はこのMR灌流画像による手法をその他の脳腫瘍における鑑別や、術中迅速病理診断支援への応用についての検討を続けていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
術中迅速病理診断で悪性神経膠腫と悪性リンパ腫を鑑別することは非常に重要であるが、悪性リンパ腫辺縁部の病理組織は神経膠腫と類似するため、術前画像診断と術中迅速病理所見に乖離がある場合、追加の標本採取が必要となり侵襲度が増大する。従って術前画像診断がいかに術中迅速病理診断に合致し合理的であるかが重要である。今後の研究の推進方法として、脳腫瘍生検術における術中迅速病理診断に我々の検討したラジオロジカルマーカーを用いることが有用であるか否かを検討する。また、対象数を増やし悪性神経膠腫と悪性リンパ腫の鑑別に最適なパラメータとカットオフ値の検討を継続して行う。その他の脳腫瘍の鑑別への応用についても検討を続ける。
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Causes of Carryover |
当該年度の実支出額と所要額はほぼ同額であり、研究計画はほぼ予定通り進行している。端数部分が次年度使用額として生じているのみである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究方針として、脳腫瘍生検術における術中迅速病理診断に我々の検討したラジオロジカルマーカーを用いることの有用性に関する検討、対象数を増やした悪性神経膠腫と悪性リンパ腫の鑑別に最適なパラメータとカットオフ値の検討、その他の脳腫瘍の鑑別への応用についての検討を継続して論文化するため、主に論文執筆のためのハード、ソフトウェアの整備、学会発表に係る旅費、論文執筆に係る英文校正費用などに助成金を使用する予定である。
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