2016 Fiscal Year Research-status Report
PCR法でのグリオーマ遺伝子診断ならびにグリオーマ悪性化因子の同定
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16K20029
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中江 俊介 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (20622971)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IDH mutant gliomas / TP53 mutation / 8q gain / high copy number / remote recurrence / major fiber bundles |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題はIDH変異型グリオーマの悪性因子の同定である。申請者らはPCR法単独での簡易型分類としてTP53変異をもたないもの(ほとんどは1p/19共欠失をもつ)とTP53変異をもつもの(多くは+7q, +8q, -9p, -11pをもつ)ものに分類し、本研究課題としてそれぞれのタイプの悪性化因子、再発因子の同定を目標とした。 そのために我々はまず術前及び再発時のMRI画像の解析を行った。その結果、主にMR spectroscopyのparameterによりグリオーマのgenetic subtypeの予測が可能であることを報告した(Nakae S et al., J Neurooncol 2017;131(2):403-12)。さらに、MRIでの再発画像の検討により、TP53変異でのみ頭蓋内遠隔転移が起こることを発見した。TP53変異群で、この頭蓋内遠隔転移とCGH法によるコピー数解析結果を比較検討したところ、頭蓋内遠隔転移群では有意に8q gainと相関性が高いことが明らかになった。さらにコピー数を計算可能な次世代シーケンスによるコピー数解析を行ったところ、8q領域の中でも8q22から8q24の領域にかけてきわめて高いコピー数を示していた。以上の結果は著名英文雑誌に現在投稿中である。今後は発現解析によってどの遺伝子の過剰発現により、頭蓋内遠隔転移が起きるのかを解明するべく現在RNAシーケンスを行っている。 -1p/19q群では、TP53変異群同様high copy numberが悪性度に関連している可能性もあり、まず同様に次世代シーケンスによるコピー数解析を現在進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グリオーマの遺伝学的研究は世界的にもhigh competitiveであるため、我々はまず画像とリンクさせることを考えた。画像解析と関連させることによって単独施設の強みを出せると考えたからである。その結果、まずはMRSによるグリオーマの遺伝子診断の術前予測に関する論文を投稿できた。さらにTP53変異群では頭蓋内遠隔転移を起こすものが予後不良であり、それには8q領域のhigh copy number gainが関与していることも明らかにした。よって現在までのところTP53変異群の研究課題については順調に進んでいる。-1p/19q群についてもTP53変異群と同様に進めていく予定であるが、現在次世代シーケンスによるコピー数解析を行っている段階であり、TP53変異群の進捗状況と比べると少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシーケンスによる発現解析を行う予定である。TP53変異群では、次世代シーケンスによるコピー数解析の結果とRNAシーケンスによる発現解析の結果を比較検討することで、頭蓋内遠隔転移に関連する候補因子を同定する予定である。
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Causes of Carryover |
OncoScan Arrayを行う予定であったが、より安価な次世代シーケンスによるコピー数解析で結果の代用ができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RNAシーケンスによる発現解析の試薬調整代、学会参加等
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