2018 Fiscal Year Research-status Report
早期発症側彎症のモデルD4ST1欠損型エーラスダンロス症候群の臨床的・基礎的検討
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16K20044
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
上原 将志 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (30748108)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エーラスダンロス症候群 / 脊柱変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
当院通院中のDDEDS患者における脊椎病変の包括的調査を行った。対象は、受診歴のある11家系12患者(男性5人、女性7人、平均年齢13.4歳)で、全脊椎X線を含めた脊椎画像検査により、脊柱変形の程度・継時的変化などについて調査を行った。また、脊椎矯正術を行った1例に関して骨組織の精査を行った。結果、12例中8例(66.7%)に側弯を認めた。そのうち45°を超えるような側弯は1例のみであった。また12例中5例(41.7%)に胸腰椎以降部における後弯を認め、12例中3例で50°以上の高度胸腰椎移行部後弯を認めた。胸腰椎移行部高度後弯を認めた全例で胸椎前弯を認めた。自然経過では、成人後に後弯角20°未満であったが、その後後弯が増強した症例があった。 頚椎についての検討では、12例中6例(50.0%)で頚椎後弯を認めた。20°以上の胸腰椎移行部後弯を認めた全例で頚椎後弯を認めた。12例中2例(16.7%)に環軸椎亜脱臼を認めた。12例中10例(83.3%)に頚椎の椎体縦長変形を認めた。 手術検体において、骨組織のHE染色上明らかな異常を認めなかった。骨形態計測上、腸骨基準値で見た場合、骨量関連や類骨関連、吸収関連のパラメータは低値であり、椎骨の骨代謝はlow turnover傾向であることが示唆された。 本研究は、mcEDS-CHST14の脊椎病変に関する世界初のシリーズであり、ヒトの椎体形成および脊椎カーブの維持においてデルマタン硫酸が重要な役割を果たしていることが示された。 以上の成果を日本整形外科学会、日本人類遺伝学会等で報告を行い、論文作成し公表した。 また、手術症例の一例について、二期的手術を行うことで良好な成績が得られたため中部整形災害外科学会において症例報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床結果について日本整形外科学会、日本脊椎脊髄病学会、中部整形災害外科学会で発表を行った。論文がAmerican journal of medical genetics part Aに採用され公表された。 また、手術症例の一例について、二期的手術を行うことで良好な成績が得られたため中部整形災害外科学会において症例報告を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
学会での研究結果の発表を行い、広く公表する予定。 手術献体が確保できれば、骨形態等の評価をさらに進め病態解明を目指す。
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Causes of Carryover |
基礎的研究を行える組織の数が少なく、当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため。 次年度使用額は消耗品の購入や旅費等に使用する。
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