2016 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄損傷後のリハビリテーションが再生軸索に及ぼす影響
Project/Area Number |
16K20049
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石川 喜資 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (30732656)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / リハビリテーション / dystriphic endball / 軸索再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】損傷を負った中枢神経では損傷軸索末端部でdystrophic endballが形成され、軸索再生が停止する。本研究の目的は、脊髄損傷に対するリハビリテーションがdystriphic endballに与える影響と脊髄損傷及び中枢神経障害回復に寄与するメカニズムについて解析することである。 【方法】約8週齢雌SDラットを使用した。麻酔下に頸椎部での脊髄後方片側を切除し、上肢機能障害を有する脊髄損傷モデルを作成した。脊髄損傷のみを起こしたラットをコントロール群とした。次にリハビリ治療として、脊髄損傷後1週間目より上肢の運動を8週間にわたり施行。その後、神経トレーサーを大脳皮質上肢運動野に注入し、脊髄損傷部頭側から損傷部に至るまでの軸索およびdystrophic endball形成の評価をおこなった。同時に脊髄損傷部組織を免疫染色により評価した。 【結果】コントロール群、リハビリ群ともに脊髄損傷部でトレーサー流入が途絶していた。損傷部より3mm頭側から損傷部に向かい、徐々にdystrophic endballの形成数増加およびサイズ増大が確認されたが、両群であきらかな差は認めなかった。一方でリハビリ群では、コントロール群では認めなかった損傷部より5mm頭側高位から脊髄損傷部までの間で軸索から分岐する多数の枝を認めた。神経細胞周囲の神経ネットワーク構築を調整するペリニューロナルネットを示すWFA抗体、BCD4抗体、R10抗体の発現量および分布については両群であきらかな差は認めなかった。 【結論】リハビリ治療単独では、dystrophic endball発現数や形態に影響を与えない可能性が示唆された。一方でリハビリにより軸索の側索形成が促されることが確認できた。本現象がリハビリによる機能回復の機序の一つと考えられた。またリハビリ治療単独は、ペリニューロナルネットへ影響を与えなかった。
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