2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 聡 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00588379)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肉腫 / 間葉系幹細胞 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
背景>近年がんの微小環境において間葉系幹細胞が腫瘍の増殖や転移に関与するという報告が複数みられる。当科では高頻度に肺転移をきたすマウス骨肉腫細胞株LM8を樹立しており、この細胞を用いて脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)が骨肉腫の増大や転移抑制に関与するかを検討した。 方法>ルシフェラーゼを導入したマウス骨肉腫細胞株LM8を皮下注すると、皮下注後4週で肺転移をIVISで検出できるが、この際にADSCをLM8に混ぜて皮下注を行った群を作成し、皮下移植巣と肺転移巣の増大スピードを検討した。ADSCに対するコントロールとして、FibroblastをLM8に混ぜて皮下注を行う群も作成し、比較検討した。 結果>ADSCをLM8と混ぜて皮下注を行った群では、同数のLM8を単独で皮下注した群と比べ皮下移植巣および肺転移巣がいずれの増大も抑制される結果であった。しかし、FibroblastをLM8と混ぜて皮下注を行った群でも同様に、LM8単独で皮下注を行った群と比べ皮下移植巣および肺転移巣の増大が抑制され、ADSCとFibroblastでの差は認めなかった。 考察>当初、ADSCから分泌される液性因子や細胞表面分子によりADSCに特異的に皮下移植巣や転移巣の増大抑制効果があるのではないかと考えていたが、ADSCだけでなくFibroblastでも皮下移植巣や転移巣の増大抑制が生じた。このことから、ADSCやFibroblastは、LM8の皮下移植巣での増殖を物理的に阻害することで腫瘍の増大を抑制し、肺転移も抑制している可能性が示唆された。今後、ADSC以外のがん微小環境に関与する因子を同定するため、LM8マウス皮下移植モデルでの皮下移植巣および肺転移層巣でのチロシンキナーゼ活性の動きを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪由来間葉系幹細胞ADSCや線維芽細胞Fibroblastはマウス骨肉腫の皮下移植巣および肺転移巣の増殖抑制効果を有したが、ADSCとFibroblastで差は認めなかったことから、皮下移植巣での増大を物理的に阻害することで増大を抑制している可能性があり、今後の増殖抑制因子の同定には、望ましい系ではないことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
LM8マウス皮下移植モデルでの皮下移植巣および肺転移層巣でのチロシンキナーゼ活性の動きを検討し、どのようなチロシンキナーゼ阻害剤で肺転移が抑制されるかを検討することで、がん微小環境で腫瘍増大に関与する因子を同定する予定である。
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