2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16K20050
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹中 聡 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00588379)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | LM8 / 骨肉腫 / 肺転移 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究室でC3Hマウス骨肉腫細胞株Dunnから樹立した高肺転移細胞株LM8を用いて、肺転移巣および皮下移植巣において活性化しているリン酸化シグナルをPhospho-RTK arrayを用いて検討し、それらのリン酸化の抑制が腫瘍増大や転移抑制に寄与するか検討した。Phospho-RTK arrayを用いた検討でLM8はin vitroにおいてPDGFRαの著しい活性化をみとめる一方で、マウス皮下移植巣や肺転移巣では、PDGFRαだけでなく、AXLやFLT-3の活性化が認められた。Multiple tyrosine kinase 阻害剤であるTAS115はPDGFRαやAXL、FLT3のリン酸化をいずれも抑制することがわかり、この薬剤を用いて、LM8に対する抗腫瘍効果を検討した。in vitroにおいてTAS-115はLM8の細胞増殖を抑制し, in vivoではLM8皮下注射モデルにおいてTAS-115投与群で著明な局所腫瘍と肺転移巣の増大抑制効果を認めた。さらにLM8尾静注モデルにおいてもTAS115投与群で肺病変の増大抑制効果を認めた。マウス皮下移植巣およびと肺転移巣において、活性化していたPDGFRα、AXL, FLT3のシグナルはTAS115投与によって抑制されていた。複数のヒト骨肉腫細胞株においても、PDGFRα、AXL, FLT3のリン酸化を認め、これらの選択的阻害剤の投与によって、多くの細胞株で増殖の抑制がみられた。また、これらの細胞株はいずれもTAS115の投与によっても増殖の抑制がみられた。以上のことから、骨肉腫において、PDGFRα、AXL, FLT3のシグナルは増殖に関与していると考えられる。TAS-115は比較的副作用が少なく臨床応用が期待されているMultiple Tyrosine Kinase Inhibitorで、第1相臨床試験が進行中であり、TAS115はPDGFRα、AXL, FLT3のシグナルを阻害することによって骨肉腫に対し効果を発揮すると期待できると考える。今後、LM8の皮下移植巣増大および肺転移増大においてPDGFRα、AXL、FLT3シグナルの役割について詳細に検討を行う予定である。
|
Research Products
(3 results)