2017 Fiscal Year Research-status Report
神経障害性疼痛メカニズム解明による股関節痛治療体系の確立
Project/Area Number |
16K20053
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鉄永 智紀 岡山大学, 大学病院, 助教 (90571224)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 神経障害性疼痛 / 心因性疼痛 / 侵害受容性疼痛 / MRI / 股関節唇 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は2016年度に引き続いて股関節痛の疫学的解析を行った。画像上関節症性変化を認める患者も認めない患者も股関節痛患者の多くは侵害受容性疼痛であったが、約15%の患者では神経障害性疼痛の要素を含んでいた。また心因性疼痛と診断される患者も一定数存在した。 レントゲン上関節症性変化の乏しい股関節痛患者に対し股関節MRIを施行し、股関節唇損傷と痛みの性質の関連について検討した。その結果、股関節唇損傷患者では侵害受容性疼痛よりも神経障害性疼痛、心因性疼痛の性質を持っていることが判った。またレントゲン上関節症性変化を認める症例において関節唇の形態学的評価を行ったところ、関節唇損傷が痛みの原因と考えられる症例が一定数あることが判った。レントゲン上関節症性変化を認める症例で人工股関節置換術を受けた患者において約70%の症例で関節唇損傷を認め、レントゲン上寛骨臼形成不全を認めないか軽度である症例で関節唇の内反を認めた症例が多かった。また組織学的に関節唇の評価を行った。今後関節唇におけるコラーゲン、MMP3、ADAMTSなどの変化について研究を進める予定である。 また、機能的MRIを行い股関節痛患者における脳機能について症例を増やして、その結果に一定の傾向があるかどうかを検討する予定である。 これらの結果を総合して股関節痛患者に対する診断ツールとしてのスコアリングが可能かどうか検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2016年にアメリカ短期留学を行った関係でやや遅れている。 機能的MRIの承諾が得られる症例が少なかったことも一因と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
股関節痛患者に対し機能的MRIを施行して、引き続き脳と股関節痛との関係を検討する。 機能的MRIなどの画像検査結果と組織学的検討の結果などを総合して股関節痛の診断ツールを作成する。
|
Causes of Carryover |
機能的MRI、関節組織の組織学的評価を施行した症例数が当初の予定よりも少なかったために次年度使用額が生じたものと考える。引き続き機能的MRI、組織学的検討を行うために繰り越しとなった研究費を試薬、抗体などに使用する。また研究成果発表、論文作成にも使用する予定である。
|