2017 Fiscal Year Research-status Report
多血小板血漿および徐放担体を用いた前十字靭帯再建術の次世代治療戦略
Project/Area Number |
16K20065
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
井上 裕章 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60457968)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 前十字靱帯再建術 / 移植腱再構築 / PRP / β‐TCP |
Outline of Annual Research Achievements |
12週齢のSprague-Dawleyラットを用いて腱移植モデルを作製した。腱移植モデルとして先行研究に従って、大腿骨顆部に骨孔を作製した。別個体から採取した遊離アキレス腱と骨孔掘削時に採取できたスティック状の移植骨を骨孔に挿入した。アキレス腱のみを挿入した群(Control群3匹)、アキレス腱と人工骨を挿入した群(β-TCP群3匹)、アキレス腱と人工骨とPRPを加えた群(β-TCP+PRP群4匹)の3群を作製した。14日目にsacrificeして、ホルマリン固定した。Sacrifice時、肉眼的には関節炎症状を起こしている個体を認めなかった。大腿骨における移植腱挿入部は線維性組織で被覆されていた。 組織切片を骨孔に平行に作製し、hematoxylin eosin染色で組織学的評価を行った。全群ともに移植腱の骨化は認めず、骨組織と移植腱由来のコラーゲン線維が確認できた。しかしControl群では移植腱はやや不明瞭であった。β-TCP群では1匹で腱が不明瞭となり強い炎症細胞浸潤を認めた。他の2匹では腱と骨組織の境界が比較的明瞭に見られた。一方、β-TCP+PRP群では3匹で良好な腱線維が確認でき、周囲骨組織へなだらかなに以降していた。炎症細胞浸潤は軽度であった。 同様の3群を作成し、28日目にsacrificeした。β-TCP+PRP群のみが炎症反応が少なかった。 14日目のsacrificeでは各群に差が見られた。腱の生着にはPRPが早期において重要な役割を果たしている可能性がある。 上記の評価に予想外の時間を費やしたため、HSP47の免疫染色による瘢痕組織の評価、タイプⅠコラーゲンの免疫染色による骨細胞の動態評価、血流の再開評価のためのα-SMA免疫染色などを次年度に行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に近い状態で進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
免疫染色を行い、各群の治癒能力の差を検討する。
|
Causes of Carryover |
作製した組織切片の評価法についての検討が煩雑で大幅に時間がかかっているため。 今年度も引き続き組織学的検討を行う。
|