2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20080
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
須藤 貴史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60739621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / 慢性痛 / 内因性鎮痛 / ノルアドレナリン / 青斑核 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の計画における1. 神経障害後の青斑核周囲の glu/GABA 基礎放出量の経時変化、および4. 7,8-DHF 処置後の青斑核 glu/GABA バランスの測定は順調に測定を行うことができた。正常動物では従来からの報告どおり、カプサイシン刺激によりグルタミン酸が上昇したが、SNLではこの変化は認めなかった。DHF処置した正常動物ではグルタミン酸濃度は無処置群と同様に上昇が見られ、SNLにおいても上昇はみられなかった。GABA濃度は正常動物、SNLいずれもカプサイシン刺激に応答した変化は見られなかったが、DHF処置を行うと減少することがわかった。今回の研究からはグルタミン酸、GABAの基礎放出量にDHFがどのように影響するのかは判明しなかった。 2. 神経障害後の青斑核の興奮性の変化と投射先でのNA放出量の測定の課題も順調に進行している。SNLにおいて消失したカプサイシン刺激に応答するNAの上昇はDHFにおいて回復した。 このため、次年度に予定していた5. 7,8-DHF処置が神経障害後の認知機能と下行性抑制系機能へ与える影響を前倒しして実施した。SNLにより正常動物よりnovel object recognition testの成績が低下するが、DHFはこれは回復させた。また同様に低下した下行性抑制系機能を回復させた。 現在は脊髄後角および前頭前皮質におけるノルアドレナリンの関与を調査する行動実験の追加と、免疫染色による検討と行っている。SNLの脊髄後角においてはDHF処置はノルアドレナリン作動性神経の軸索密度を増加させるように働くようである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マイクロダイアリシスを用いた青斑核周囲におけるグルタミン酸・GABAの測定が順調に進んだ。このため、行動実験を前倒しして勧めることができた。そのため、当初優先順位を高くしていた、内因性鎮痛の他覚的所見を得るための実験を本年に行う。本実験もすでに勧めており、当初の計画以上に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
心拍変動解析による青斑核機能の他覚的評価に向けたを進める。microdialysis 中に心電図を記録し、心拍変動(Heart rate Variability)を解析する。glu/GABA 変化と心拍変動との関連性を検討する。HRV は交感神経成分 LF と副交感神経成分 HF について検討 し、その比について検討する。また、28年度より進めている免疫染色による検討を深めていく。また、脊髄及び前頭前皮質におけるマイクロダイアライシスにより青斑核の投射先での機能変化を調査していく予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度の実験計画として、青斑核と脊髄および前頭前皮質でのマイクロダイアライシスにかかる費用を計上していた。28年度の計画を変更し、青斑核のマイクロダイアライシスを行った後、青斑核の投射先である前頭前皮質と脊髄後角における機能変化を調査する行動実験を優先して行った。動物をこれにより、行動実験分の動物費は使用したが、脊髄および前頭前皮質におけるマイクロダイアライシスの消耗品分(実験動物および透析プローブ)の費用が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は脊髄及び前頭前皮質におけるマイクロダイアライシスは当初の計画通り行ないたいと考えている。マイクロダイアライシスに必要な消耗品である、実験動物、透析プローブやガイドカニューラなどに購入使用する予定である。
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