2018 Fiscal Year Annual Research Report
慢性痛が睡眠・覚醒リズムに影響を与える神経科学的メカニズムの解明と治療法開発
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16K20085
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
伊東 久勝 富山大学, 附属病院, 助教 (60736388)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 疼痛学 |
Outline of Annual Research Achievements |
イソフルラン吸入による全身麻酔下にマウスの右側坐骨神経を半周結紮することによって、神経障害性疼痛モデルを作製した。Planter testおよびvon Freyvtestを用いて神経結紮手術7日後から熱痛覚過敏反応および機械的アロディニアが認められることを確認した。この神経障害性疼痛モデルに、全身麻酔下に脳波測定用ヘッドマウントを頭蓋骨にセメントで固定することで、無麻酔下に脳波を測定し、脳波解析ソフトSleep Signを用いて解析し睡眠状態を評価した。その結果、神経障害性疼痛モデルは覚醒期の増加、睡眠量の低下を認めた。さらに覚醒物質であるオレキシンの受容体拮抗薬であるDORA(Dual Orexine Receptor Antagonist)の投与を行い、神経障害性疼痛モデルの睡眠の改善が認められた。一方で、持続時間の長い睡眠の数が減少した。 DORAによる睡眠の改善が神経障害性疼痛に与える影響を調査するために、睡眠の改善が得られた投与量でDORAを神経結紮手術7日後から1週間投与後、Planter testおよびvon Frey testを用いて熱痛覚過敏反応および機械的アロディニアを評価した。その結果、DORA投与終了1時間後に疼痛行動の抑制が認められたが、24時間後には疼痛行動は対象マウスと同様のレベルまで戻った。また、回転カゴ付きケージを用いた自発運動の評価を行ったところ、DORA投与マウスは自発運動量 が低下する可能性が認められた。 そこでNaSSA(noradrenergic and specific serotonergic antidepressant)を用いて同様の実験を行ったところ、睡眠の改善が得られた。また熱痛覚過敏反応および機械的アロディニアを評価した結果、投与終了1時間後に疼痛行動の抑制が認められた。また、回転カゴ付きケージを用いた自発運動の評価を行ったところ、NaSSA投与マウスは自発運動量低下を認めなかった。
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