2017 Fiscal Year Research-status Report
周術期における血小板機能に関する研究ー抗血小板薬休薬と禁煙の影響の検討
Project/Area Number |
16K20089
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
鬼頭 祐子 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 特任助教 (30770755)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 血小板 / 禁煙 / 抗血小板薬 / collagen / ADP |
Outline of Annual Research Achievements |
喫煙により血管内皮細胞が傷害されることで血小板凝集能が亢進され、血栓形成を引き起こすことが知られている。しかし、血小板機能に対する喫煙の影響またその機序の詳細は明らかではない。今回、術前に患者が禁煙した場合、あるいは術前に抗血小板薬を中止する場合を想定し、血小板機能の経時的変化を解析し、安全な周術期管理の指標を示すことを本研究の目的とする。禁煙外来受診患者において、文書と口頭による説明を行い、同意書に署名を得られた対象者から、静脈血採血を行う。禁煙外来初回受診日、1カ月後(4週)、2カ月後(8週)、3カ月後(12週)に追跡調査を実施する。また、術前に抗血小板薬を中止した患者から採血を行う。得られた静脈血より多血小板血漿(PRP)を調製し、ADP、collagenなどの刺激による血小板凝集能の変化をレーザー粒子径計測法にて解析する。 解析後、ELISA用のサンプルと血小板に分離する。EILSA用のサンプルは-80℃の冷凍庫にて保管し、血小板はDTTを加えたsampling bufferを加えたものを95℃、5分加熱したのち同様に-80℃の冷凍庫にて保存する。さらに、得られたサンプルより、血小板から遊離される生理活性物質(platelet-derived growth factor,5HT,CD40L等)をELISA法にて測定する。また、Western blot法を行い、様々な抗体(p38 MAP kinase、p44/42 MAP kinase、HSP27など)と反応させ、血小板中の細胞内情報伝達機構を明らかにする。また、診療により得られた患者基本情報(年齢、性別、身長、体重、血圧、使用中の薬剤名、血小板数等)を収集する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
禁煙後に血小板凝集能は一時的に過剰反応を示した後、正常回復することが判明。禁煙による一過性の過凝固はADP、コラーゲンによるp38 MAP kinase HSP27のリン酸化の増強によるCD40 ligandの遊離、PDGF-AB分泌促進を介している可能性があり検討中である。データ収集はほぼ終了し、論文執筆中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
抗血小板薬を服用している喫煙歴のない患者のうち周術期に抗血小板薬を休薬する患者(ヘパリンに置換する患者は除く)、文書と口頭による説明を行い、同意書に署名を得られた対象者から、薬剤の休薬前と休薬後にて静脈血採血を行う。 また、抗血小板薬を服用している禁煙外来の受診患者に対しても同様の分析を行う。 対象抗血小板薬はバイアスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、シロスタゾール、ジピリダモール、サルポグレラート、イコサペント酸エチルとする.
|
Causes of Carryover |
サンプルの採取のための用具やcollagen、ADPなど刺激薬の購入などに使用予定。
|