2016 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植手術における急性腎障害発症のメカニズム解明および予防法の確立
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16K20092
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
溝田 敏幸 京都大学, 医学研究科, 助教 (80596198)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 肝移植 / 急性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成 28 年度は、肝移植レシピエントにおける急性腎障害( AKI) 発症状況・および AKI 発症と予後との関係 についての検討を行うとともに、肝移植周術期 AKI 危険因子 同定に取り組んだ。 成人の生体肝移植レシピエントにおけるAKI発症状況調査を行い、過去に脳死肝移植で報告されているものと同程度のAKIが発症していること、また、血清クレアチニン値の上昇を伴わない乏尿が集中治療室在室日数や在院日数の延長、及び慢性腎障害の増加と関連することを見出した。上記内容は学術論文に報告済みである(Acta Anaesthesiol Scand 2016;60:874-81)。 また、小児肝移植におけるAKI発症状況の調査を行い、小児肝移植術後のAKI発症割合及びその危険因子、予後への影響を解析した。この内容を2017年の日本麻酔科学会年次学術集会で発表予定であり、また、学術論文への発表準備中である。 今後の研究課題として末期肝障害患者における腎障害のバイオマーカー探索と肝移植周術期AKIの予防策についての研究である。 我々の検討から、肝移植周術期においては血清クレアチニン値によるAKI診断が臨床的に有意な腎障害の一部を見逃す可能性があることが示唆された。今後は肝移植レシピエントのような末期肝障害を有する患者において腎障害をより確実に把握できるバイオマーカーの探索を行いたいと考えている。また、申請者らはピトレシンの術中持続投与が肝移植周術期AKI予防に有用なのではないかという仮説を持っており、その検証に取り組みたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 28 年度は、肝移植レシピエントにおける急性腎障害( AKI) 発症状況・および AKI 発症と予後との関係 についての検討を行うとともに、肝移植周術期 AKI の有用なバイオマーカーの探索と危険因子の 同定に向けたデータ収集を開始する予定であった。 肝移植レシピエントにおけるAKI発症状況は成人肝移植、小児肝移植の各々について調査を完了しており、成人の方は学術論文にて報告済み、小児の方は現在日本麻酔科学会への発表および学術論文執筆の準備中である。AKIの危険因子についても解析を行い、成果を学術論文に報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
我々の検討から、肝移植周術期においては血清クレアチニン値によるAKI診断が臨床的に有意な腎障害の一部を見逃す可能性があることが示唆された。今後は肝移植レシピエントのような末期肝障害を有する患者において腎障害をより確実に把握できるバイオマーカーの探索を行いたいと考えている。 また、AKI高リスク患者における有効なAKI予防法の確立がもう一つの課題である。申請者らはピトレシンの術中持続投与が肝移植周術期AKI予防に有用なのではないかという仮説を持っており、その検証に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
平成29年度の給付額が充分な研究計画を立てる上で不足していたため、平成28年度の使用はデータ解析に最低限必要な機器の購入のみにとどめた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に末期肝疾患患者におけるAKIバイオマーカー探索のための試薬購入に用いる予定である。
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Research Products
(3 results)