2016 Fiscal Year Research-status Report
心臓大血管手術における溶血関連急性腎障害の予防法の検討
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16K20095
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
久保田 健太 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (10622475)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 急性腎機能障害 / 心臓大血管手術 / ハプトグロビン / 溶血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心臓大血管手術患者において人工心肺などにより生じる溶血と術後急性腎障害の関連を明らかにし、溶血の治療法であるハプトグロビン製剤投与と溶血および急性腎障害との関連を検討することを主たる目標としている。 1年目の平成28年度は、人工心肺を用いる心臓大血管手術患者で生じる溶血発生頻度とその重症度を明らかにし、術後腎障害の発生との関連を究明することが目標であった。同意書を取得した予定患者から、麻酔導入後・人工心肺開始-2時間後までの30分毎・人工心肺終了30分後・2時間後・ICU入室後・術後1日目2日目の計10ポイントで、動脈ラインからの採血と尿バッグからの採尿を施行した。血中遊離ヘモグロビン値(fHb)とハプトグロビン値(sHp)を溶血の程度の指標とし、尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG)と尿中微量アルブミンおよび、ルーチンの採血結果よりクレアチニンのデータを集積し急性腎障害の診断を行なって腎機能障害の指標とした。 20名の患者データを集積し経時的変化を検討したところ、必要性が低いと考えられた検体採取ポイントが判明した。その結果、麻酔導入後・人工心肺開始1時間後・2時間後・人工心肺終了30分後・2時間後・術後1日・2日の計7ポイントに検体採取を減らすことができた。 これまで本研究にエントリーした患者数50名の解析を行ったが、ハプトグロビン投与群とハプトグロビン非投与群において術後急性腎不全の発生率に有意な差は得られていない。より多くの患者数が必要であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度の研究期間中、計測機器の不具合があり修理する必要があったためその期間中研究を進めることができなかった。 また、本研究のinclusion criteriaを満たす患者が概算していたよりも少なかった。現在エントリーした患者の検査データで解析を行ったが、有意な差がみられずより多くの対象患者が必要であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書提出時に概算した必要患者数に至るまで現在のプロトコルで推進する予定である。緊急症例も含めて可能な限り症例数を集めることで完遂できると考える。
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Causes of Carryover |
①機器の故障により研究を進めることができない期間があり、平成28年度にエントリーした患者数が予定していた患者数よりも少なくなった。 ②平成28年度の初期解析で検体採取ポイントが減り、当初の計画よりも経費を節約できた。③本年度に行う予定だった高度な解析を行うデータ解析用PC購入を翌年度に見送った。④参考資料・研究図書の購入が予定より少なかった。 以上の理由から平成28年度の使用額が少なくなったが、①③④に関しては、平成29年度以降必要になる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
血液検査の外部委託、検査に使用するスピッツ・シリンジ・キュベット等の消耗品、データ解析用ラップトップPC、研究図書・参考資料
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