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2018 Fiscal Year Research-status Report

四肢虚血リモートプレコンディショニングと酸化ストレス,フリーラジカルの関与

Research Project

Project/Area Number 16K20101
Research InstitutionYamaguchi University

Principal Investigator

山下 理  山口大学, 大学院医学系研究科, 助教 (20610885)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsプレコンディショニング / リモートプレコンディショニング / 四肢虚血 / 酸化的ストレス / フリーラジカル / 神経保護 / ケトン体 / フリーラジカルスカベンジャー
Outline of Annual Research Achievements

四肢虚血リモートプレコンディショニングによる神経保護効果の機序として、酸化ストレス、フリーラジカルの関与に着目して研究を行ってきた。実験方法としてはフリーラジカルそのものを測定することは困難であるため、何らかの酸化物質の変化量を測定する方法以外に今回の研究ではフリーラジカルを消去するフリーラジカルスカベンジャーをプレコンディショニング前に投与して、そのトリガーを抑制することで、実際にその保護効果が減弱、あるいは打ち消されるかどうかを検討した。
前年度はDimethylthiourea (DMTU)を使用したが、有意な神経保護効果の減弱は認めなかった。そこで視点を少し変え、内因性のフリーラジカルスカベンジャーでもあるケトン体の一つのβヒドロキシ酪酸をその候補物質とした。ケトン体はβヒドロキシ酪酸、アセト酢酸、アセトンの総称であるが、βヒドロキシ酪酸がその中で主な物質である。ただ近年食事誘発性や実際にケトン体投与による様々な臓器保護効果も報告されていることから、まずは今回の実験系である中大脳動脈閉塞モデル(middle cerebral artery occlusion: MCAO)におけるβヒドロキシ酪酸自体の影響を確認し、実際に血中濃度を測定して投与経路・投与時間・投与量を決定した。その結果βヒドロキシ酪酸の投与自体で脳梗塞体積が増加したことが判明したため、フリーラジカルスカベンジャーとしての投与はできなかった。
βヒドロキシ酪酸に関してはヒトにおける臨床的な血中濃度になるように投与量を決定したが、これまでの報告と比較してかなり大量となり、また血中濃度は思いのほか上がりにくいことが判明した。ケトン体投与によって神経保護効果よりむしろ脳梗塞の増悪を認めたことは意義のある研究結果と考え、第6回アジア神経麻酔集中治療学会で発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

四肢虚血リモートプレコンディショニングにおける酸化的ストレス、フリーラジカルの関与を考え、プレコンディショニング前に何らかのフリーラジカルスカベンジャーを投与することで、プレコンディショニング効果が減弱すれば間接的な証明になるとしてDimethylthiourea (DMTU)やケトン体の一つであるβヒドロキシ酪酸を用いたが、神経保護効果の減弱は認めなかったり、投与自体で脳梗塞を増悪させることが判明したため、理想的な薬剤が同定できず、その先の詳細な機序の解明や治療応用まで進んでいない。
フリーラジカルスカベンジャー自体は脳梗塞等の病態においては、保護的に作用するため、あまり作用時間の長い物質ではそれ自体の影響も無視できなくなる。一時的な繰り返しの四肢虚血時に生じるフリーラジカル、酸化的ストレスのみを抑え、その後の今回の実験系である中大脳動脈閉塞モデル(middle cerebral artery occlusion: MCAO)によって生じる脳梗塞自体には影響を与えないものが理想的だと考える。一旦候補となる薬剤があがってもそれ自体の毒性や虚血手技への影響、投与経路・投与時間・投与量などを検討する必要があるため、予想以上に時間がかかっている。
フリーラジカルスカベンジャーの候補物質検討中に、MCAO前のケトン体投与によってむしろ脳梗塞が増悪することが判明し、その実験も併せて施行したため、本研究課題の進捗状況はやや遅れているとした。

Strategy for Future Research Activity

理想的なフリーラジカルスカベンジャーを同定することを最優先課題とする。実際に臨床使用しているエダラボンや内因性の物質としては尿酸なども挙げられる。中大脳動脈閉塞モデル(middle cerebral artery occlusion: MCAO)自体の手技としては十分に確立しており、安定して脳梗塞を生じることが出来るようになり、またばらつきも少なくなっている。ターニケットによる四肢虚血リモートプレコンディショニングは侵襲性も少なく、プレコンディショニングの時間・回数も確定しているため、今後の研究の推進に支障はないと考える。
また薬剤投与以外にプレコンディショニングのトリガーを消去させる別の方法がないか別の視点から少し検討していきたい。
四肢虚血リモートプレコンディショニングの中枢神経保護の機序として、脳血管の側副血行路の増強を示唆する研究結果もあり、そのシグナル経路は不明だが何らかの液性因子というよりは神経系の関与も報告されている。
実際に四肢虚血リモートプレコンディショニングは心臓外科手術など一部臨床応用され、検討されている。脳をはじめ中枢神経系に関しても有意な保護効果を見出し、その機序を解明していくことは一つのbreakthroughとなり得る。新たな知見を加えることができるように研究を進めていきたい。

Causes of Carryover

僅かに次年度使用額が生じたが、次年度の実験物品の購入費等に充てる予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] The examination of neuroprotective effect by ketone body in transient middle cerebral artery occlusion (MCAO) of rat2019

    • Author(s)
      山下 理
    • Organizer
      第6回アジア神経麻酔集中治療学会
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2019-12-27  

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