2018 Fiscal Year Research-status Report
下部尿路微小循環障害の実験系確立とTRPチャンネルの微小循環に対する役割の検討
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16K20129
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
皆川 倫範 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60638873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 下部尿路機能 / 虚血 / TRP受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、2012年以後、さまざまな下部尿路虚血モデルを作成し、検討を重ねてきた。大きくわけて、①ニコチン投与モデル、②冷えストレスモデル、③放射線性障害モデルの3つの病態モデルを開発した。 ①ニコチン投与モデル(急性、細動脈レベルの閉塞)ニコチン摂取は下部尿路症状の増悪因子のひとつとされ、交感神経系の機能亢進や平滑筋の神経成長因子産生増加、尿路上皮からのアデノシン三リン酸(ATP)分泌増加などをもたらすとされている。我々の検討では、ニコチンの腹腔内投与により、膀胱血流が低下することが確認された(図6)。タダラフィルで治療介入を行い、その血流の低下は抑制された。レーザードプラ血流測定されるため、細動脈レベルでの攣縮が虚血の機序と考えられる。(永井ほか、日本泌尿器科学会総会, 2018) ②冷えストレスモデル(急性、毛細血管レベルの閉塞)冷えと頻尿の関連は、経験的にも学術的にも明らかである。寒冷に暴露することにより、排尿筋活動が亢進する(図7)。冷えには様々なメカニズムが関与すると考えられているが、当教室では血流と寒冷受容体(TRP受容体)との関連に注目して研究を行っている。(皆川ほか、泌尿器科漢方医学研究会, 2018) ③放射線性障害モデル(慢性、毛細血管レベルの閉塞)放射線性膀胱炎のモデルを作成し、幹細胞による治療効果を明らかにした(図8)。放射線による血管内皮障害は顕著で、毛細血管レベルの慢性虚血障害である。(Imamura T, et al. Tissue Eng, 2018)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は1つの研究内容で執り行う予定の研究であったが、現在は3つの内容(上記①、②、③)で同時平行での進行が実現している。手技の安定が想定よりも早い段階で可能であったことが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
TRP受容体の発現は、膀胱のみでおこなっているので、尿道や神経終末で検討を行う必要がある。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて論文作成費用・学会参加費として使用する予定である。
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