2019 Fiscal Year Research-status Report
下部尿路微小循環障害の実験系確立とTRPチャンネルの微小循環に対する役割の検討
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16K20129
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
皆川 倫範 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (60638873)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血流障害 / 膀胱 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回はその抗炎症作用に着目し、酢酸で誘発される炎症にともなう排尿筋過活動に対する猪苓湯の薬理効果について検討を行っている。10週雌SDラットを通常食群(Normal)と、酢酸灌流群(AA)と、1%猪苓湯混餌飼料投与のうえ酢酸韓流を行なった群(AA with CRT)にわけて、それぞれ n=6での検討を行なった。2週間の飼育後、生理食塩水あるいは0.2%酢酸を膀胱内に30分間還流した。酢酸灌流翌日に、膀胱内圧測定を施行した。また、レーザー血流測定装置を用いて、膀胱血流の変化を測定した。組織学的検討としてHE染色を行い、免疫組織学的検討として、低酸素マーカーであるHIF1αの染色を行なった。結果として、膀胱内圧測定ではNormal群との比較では、AAの投与により、1回排尿間隔時間が短縮し、1回排尿量の低下を認めた。AA with CRTでは、それらの排尿筋過活動の所見が抑制された。レーザー血流測定では酢酸の膀胱内灌流により、Normal群に比べてAA群での膀胱血流増多を認めた。一方、AA with CRTでは、血流の増多が抑制された。 組織学的検討・免疫組織学的検討ではHE染色での観察では、AAによる炎症細胞の増多は明らかでなかったが、粘膜の浮腫を認めた。HIF1αの発現に明らかな違いを認めなかった。以上の結果より、AAの投与は排尿筋過活動のモデルとして妥当であると考えられる。また、AAの投与によって誘発された排尿筋過活動は、猪苓湯の投与により抑制された。排尿筋過活動の抑制として考えられるメカニズムは、AAにより惹起された過剰な膀胱血流や浮腫を抑制することが考えられた。抗炎症作用と低酸素・虚血との関連は明らかでなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の研究結果は、2020年のLower urinary tract symptomsに掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
動物もでるを慢性炎症に変え、さらに検討するとともに、TRPチャンネルとの関連を明らかにする。慢性膀胱の炎症モデルの確立には3ヶ月程度かかる見通しである。その後に治療介入実験を行う。
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Research Products
(1 results)