2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K20130
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
水谷 晃輔 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (80397356)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 腎癌 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
腎癌の診断は主にCTやエコーを主体とした画像検査となるため早期の発見は容易でなく、そのため早期発見のための血中マーカーの実用化が期待されている。以上より本研究では細胞外分泌型エクソソーム(以下エクソソーム)に着目し、腎癌のマーカーを発見するべく基礎的なデータ収集を行う。 本年度はまず複数の腎癌細胞株(Caki-1、KMRC-1、OS-RC-2)から超遠心法にてエクソソームを回収してエクソソームタンパクの解析をおこない、腎癌の発生母地である近位尿細管細胞株(RPTEC)との比較を行った。プロテオーム解析にて得た結果を元に、腎癌細胞株由来エクソソーム内で増加しているタンパクについてwestern blotting法にて確認した。 腎癌細胞株からの結果より、エクソソームに存在する複数のタンパクが腎癌のマーカーになり得る可能性が示唆されたため、腎癌患者血清よりエクソソームを精製して細胞株で同定したタンパク群についてwestern blotting法を用いて発現を評価した。細胞株を用いて同定したマーカーとなり得るタンパク群の分子量は50-60kDであり、ヒト血清を使用した検討では免疫グロブリンの分子量と重なりその発現の検討が困難であった。研究計画にある磁気ビーズを用いた免疫沈降法も施行してみたが、やはり分子量が重なるため評価が困難であった。現在は分子量の重なりの影響を受けにくいELISA法などを使用して目標タンパクの定性、定量化を試みている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の研究計画である、腎癌細胞株から超遠心法にて精製したエクソソームのプロテオーム解析を行い、腎癌マーカーの探索を終えた。この候補についてはwestern blotting法にてその発現を確認し、プロテーム解析とほぼ同様の結果であることが確認できた。腎癌患者血清からのエクソソームタンパクの解析についてはELISA法などを用いて改善を図っている。今後は本法をさらに改良して腎癌エクソソームタンパクの解析手法の確立を目指している。以上より全体を通しておおむね研究計画通りに進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究計画はおおむね順調に進展し、特定のエクソソームタンパクが腎癌のマーカーになり得る可能性が示唆されたため、今後も計画通りに研究を進める。 ①密度勾配遠心法による患者血清からの全エクソソームの精製と解析。超遠心法では免疫グロブリンやアルブミンなどの血清関連タンパクが多く、分子量によってはwestern blotting法での解析が困難なため、よりエクソソームの精製度が高い密度勾配遠心法で精製しタンパク解析を行う。タンパク解析には分子量の影響を受けないELISA法なども使用する。 ②エクソソーム内mRNAプロファイリング。まず腎癌細胞株で腎癌に高頻度に起こるとされるVHL遺伝子について研究を進める。その後細胞株、腎癌患者血清から精製したエクソソーム内mRNAのmicroarrayにて網羅的解析を行いマーカーとなり得るターゲットを選定する。 ③統計学的検討。①②で得られた結果を元に、癌の検出率について統計学的に有意差があるか判定する。有意差があった因子に関しては、症例数を増やして有効性を検討する。 以上、今後の研究を遂行するうえでの障壁はなく計画通りに実施していく予定である。
|
Research Products
(1 results)