2016 Fiscal Year Research-status Report
腎細胞癌特異的エクソソームにおけるmiRNA網羅的探索と、新規治療標的の同定
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16K20134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中田 渡 大阪大学, 医学系研究科, 招聘教員 (30648019)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 腎癌 / エクソソーム / 組織 / 血清 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
腎細胞癌手術検体より癌組織と正常組織をそれぞれ採取し、それらを短時間培養液中で培養し、培養液中に分泌されたエクソソームを超遠心法にて分離した。エクソソームの回収は以下の3点で確認した(①Western blot法にてエクソソームのマーカーであるCD63、CD81、CD9の発現解析、②ナノ粒子解析装置(NanoSight NS500)を用いた粒子径の測定、③透過型電子顕微鏡(日立・H-7650)にてCD9陽性の粒子の確認)。エクソソームよりmiRNAを精製した上でマイクロアレイによるmiRNA発現解析を行った。しかし組織培養液から得られるエクソソーム中のmiRNA発現解析では腎癌組織由来、正常組織由来での発現に有意差のある候補となるmiRNAは少なかった。またその中の候補miRNAについて定量的PCR法による増幅を試みたが、miRNAの特性上PCR法にて増幅がみられないものも多くあった。そこで臨床応用という観点から同時に研究予定であった血清由来のエクソソーム中のmiRNAの発現解析に焦点を当て、ひとまず移行することとした。20例(腎癌患者15例、健常者5例)の血清を超遠心し得たエクソソームからmiRNAを抽出し、東レ社の3D-GENE miRNAアレイを用いてマイクロアレイ解析を行った。この結果から腎癌の診断に有用なmiRNAの組み合わせを導き出すため、人工知能を用いた解析により、最適な組み合わせを探索中であり、その診断予測能の検証を今後行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
腎細胞癌手術検体より癌組織と正常組織をそれぞれ採取し、それらを培養し、培養液中に分泌されたエクソソームを超遠心法にて分離し、エクソソームよりmiRNAを精製した上でマイクロアレイによるmiRNA発現解析を行った。しかし腎癌組織由来、正常組織由来での発現に十分な差があり、有意差のある候補となるmiRNAは多くなかった。またいくつかの候補miRNAについて定量的PCR法による増幅を試みたが、miRNAの特性上PCR法にて増幅がみられないものも多くあった。そこで臨床応用という観点から20例(腎癌患者15例、健常者5例)の血清を超遠心し得たエクソソームからmiRNAを抽出し、マイクロアレイ解析を行った。この結果から腎癌の診断に有用なmiRNAの組み合わせを導き出すため、人工知能を用いた解析を行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
腎癌患者の血清から得られたエクソソームにおいて特異的に発現変動するmiRNA群を同定し、バイオマーカーとしての実用性があるかどうかを検証していく。さらに組織培養エクソソーム中においても発現変動するものを同定できれば、それらを機能阻害することで、癌の抑制作用があるかなどについての検証を行っていく。
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Causes of Carryover |
平成29年度の研究で使用予定の試薬の予算が想定より増額したため。平成28年度の支出を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬の購入費に使用する。
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