2016 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌の薬剤感受性に関与する新規遺伝子のスクリーニン グ
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16K20136
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川村 憲彦 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (40722658)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬剤感受性関連遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、前立腺癌のエンザルタミドまたはドセタキセル感受性に関わる新規遺伝子を抽出することと、そのメカニズムを解明し、新規治療ターゲットの発見につなげることを目的としている。我々はまず、エンザルタミド感受性に関わる新規遺伝子の探索を試みたが、実験の根本となる細胞株に対するエンザルタミドの最小致死濃度の設定がうまくいかなかったため、ドセタキセル感受性に関わる新規遺伝子の探索へと目標を転換した。ドセタキセルにおいては最小致死濃度の設定が完了したため、前立腺癌細胞株の各細胞に対し各々1遺伝子をノックアウトすることができる実験系(交付申請書に記載)を用いて、遺伝子の機能抑制(ノックアウト)スクリーニングを行った。具体的には、1細胞1遺伝子がノックアウトされた細胞集団にドセタキセルを投与し、ドセタキセル投与下に生存することができた細胞からいずれの遺伝子がノックアウトされていたかを次世代シーケンサーを用いて解析した。結果、抑制時に前立腺癌の進展を促す可能性があることが近年報告されたBACE2遺伝子や、膀胱癌で抗癌剤感受性に関わることが報告されたmir1182(miRNA)などの遺伝子が上位にランキングされ、遺伝子のスクリーニングとして機能している実験系であることが示唆された。その他にも、抗がん剤の感受性に関わる遺伝子として報告のない、興味深い候補遺伝子を抽出することができたため、これらの抽出しえた遺伝子の機能抑制を行った場合に前立腺癌細胞がドセタキセルに対して抵抗性を示すのかを今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はまず、エンザルタミド感受性に関わる新規遺伝子の探索を試みたが、実験の根本となる細胞株に対するエンザルタミドの最小致死濃度の設定がうまくいかなかったため、ドセタキセル感受性に関わる新規遺伝子の探索を行うこととした。ドセタキセルにおいては最小致死濃度の設定が完了した。前立腺癌細胞株の各細胞に対し各々1遺伝子をノックアウトすることができる実験系を用い、ドセタキセル投与下に生存することができた細胞からいずれの遺伝子がノックアウトされていたかを次世代シーケンサーを用いて解析した。結果、様々な候補遺伝子を抽出することができたため、当研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノム編集技術を用いて、抽出できた候補遺伝子のうち上位10の遺伝子各々を欠失させた前立腺がん細胞株を作成し、ドセタキセルに対する感受性の変化を評価する予定である。これにより実験系としての妥当性を担保でき、またドセタキセル感受性関連遺伝子として、そのメカニズムの解明に値する遺伝子を同定することが可能であると思われる。また、このような遺伝子を同定できた場合は、ヒト臨床検体における発現も同時に検討する予定である。
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Causes of Carryover |
H29年度に参加予定の出張の予算が想定より増額したため、H28年度の支出を抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H29年度の出張費に充てる。
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