2017 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌増殖を制御する新たな癌統括酵素Par14の臨床応用を目指して
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16K20141
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
金岡 隆平 広島大学, 病院(医), 研究員 (80772235)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Par14 / 前立腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌におけるPin1のアイソフォームであるPar14の役割解明のために、細胞増殖、血管新生、遊走能、浸潤能について検討を行ったところ、細胞増殖、血管新生についてPar14はPin1同様に正の方向に制御していることが判明したが、遊走能、浸潤能については有意差は得ることができなかった。 また、ウエスタンブロット法にてPar14の発現抑制によりS6K蛋白量が著明に減少していること、またその下流のサイクリンD1、VEGFなどの発現量も低下していることが証明された。 また、Par14の前立腺癌における発現様式ならびに意義を解明するため、前立腺癌臨床検体組織を用い、免疫染色にて組織内発現を統計学的に検討した。Par14発現を、なし、低、中、高発現の4グループに分類化したところ、中、高発現は70%認められた。また、Par14発現はグリソンスコア、T分類などの病理学的因子との相関を認めPar14の発現量が高いほど、グリソンスコが高く、T分類も進んでいることが判明した。さらに、臨床経過および予後との相関については現在検討中である。 Par14KOマウスと野生型マウスを前立腺癌モデルマウス(TRAMPマウス)と交配させPar14KO-TRAMPマウスとコントロール-TRAMPマウスの作製を現在行っており、おおむね順調である。予定のマウス数を作製でき次第、前立腺癌発癌、進展の変化ならびに摘出腫瘍の組織学的、分子学的変化を比較検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、アンドロゲン依存性、非依存性の2種類の前立腺癌細胞(PC3、LNCap)を用いた細胞実験においては細胞増殖、血管新生との相関を証明でき、かつ免疫染色にてPar14の組織内発現の評価、ならびに病理学的因子との相関について明らかになってきている。同時に、Par14KO-前立腺癌モデルマウス作成も概ね順調に来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
前立腺癌細胞株を用い、Par14の細胞増殖能、血管新生能への 影響を明らかにするため再現性が取れるかどうかの実験を行っていく予定である。 またChIPアレイ(クロマチン免疫沈降とタイリングアレイの組み合わせによる解析)の結果やクロマチン免疫沈降を用いてPar14によるS6K制御のメカニズムを明らかにする。 また、Par14KO-前立腺癌モデルマウスを作製し、前立腺癌発癌、進展予後の変化、摘出腫瘍の組織学的、分子学的変化を明らかにする予定である。
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