2016 Fiscal Year Research-status Report
膀胱癌・新規癌抑制型マイクロRNAが制御する機能性RNA分子ネットワークの探索
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16K20145
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
松下 良介 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (80735366)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | microRNA / 膀胱癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代シークエンサーによるmiRNA発現解析では、933個の既知miRNAと17個の新規miRNAの発現を解析し得た。933個の既知miRNAのうち、膀胱癌で有意に発現が低下していた60個のmiRNAの中でリストの上位のものから解析を行ってきた。その結果、miR-144-5pはCCNE1/2の発現を抑制することにより、膀胱癌細胞における細胞分裂周期を調節していることが明らかになった。従来、他の癌種でも癌抑制型マイクロRNAとして知られていたmiR-145-5pのパッセンジャー鎖であるmiR-145-3pはこれまでその機能が不明であったが、ともに共通の標的遺伝子であるUHRF1の発現を直接抑制することが明らかになった。UHRF1はメチル化やヒストン脱アセチル化を介して、癌細胞における癌抑制遺伝子の不活化に寄与していると考えられている。同様にmiR-139-5p はパッセンジャー鎖であるmiR-139-3pと共同して腫瘍間質におけるmatrix metalloprotease 11の発現を調節していることを明らかにした。またmiRNA-26a-5p とmiR-26b-5pは共通のターゲットであるPLOD2を介して、腫瘍間質のコラーゲン繊維のリモデリングに関与していることも明らかにした。最近の研究ではmicroRNA-199 familyの発現高値は膀胱癌患者の予後良好の予測因子であり、インテグリンシグナル伝達を制御して、癌抑制的に働くことが示唆された。このようにマイクロRNAを基点とした膀胱癌の新しい癌シグナル経路が明らかになりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
明瞭なストラテジーの下に4つの論文を発行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
このまま解析を継続して、膀胱癌におけるマイクロRNAの癌抑制機序を明らかにしていく。治療介入に対する応答が検討できる症例では、次世代シーケンサーによる追加の解析を推進していく。
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Research Products
(7 results)