2016 Fiscal Year Research-status Report
精巣における転写因子機構の解明と男子不妊症遺伝子治療に向けた基礎的研究
Project/Area Number |
16K20151
|
Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 雄一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (00706848)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | リポフェクション法 / エレクトロポレーション法 / アデノウイルスベクター法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)マウスセルトリ細胞およびライディッヒ細胞の初代培養 8-10週齢のICRマウスにブズルファンを投与し、完全に精母細胞、精子細胞、精子を精巣から除去し、2ヶ月後に屠殺し、精巣を摘除した。白膜を除去しコラゲナーゼ処理を行った後、ほぐれた精細管を洗浄し、トリプシン処理した後FCS培地に懸濁。コラーゲンゲル上で精祖細胞と分離して、セルトリ細胞とライディッヒ細胞を抽出することができた。 (2)培養細胞下での精巣細胞への遺伝子導入 精子形成細胞と、セルトリ細胞とライディッヒ細胞を共培養し①カチオニックリポフェクション法を用いて、Ad4BP/SF-1の遺伝子導入を行った。しかしながら、本方法では、セルトリ細胞とライディッヒ細胞への遺伝子導入は不可能であった。そこで、②エレクトロポレーション法による遺伝子導入方法を試みた。様々な条件設定を試みたものの、現在のところ効率的な遺伝子導入ができていない。したがって、アデノウイルスベクター法によるセルトリ細胞とライディッヒ細胞への遺伝子導入方法を検討するため、準備中である。今後は、遺伝子導入することによりSertoli細胞分泌物質であるactivin、inhibin、plasminogen activator、cyclin protein2、NO、lactateなどの発現量をウエスタンブロッティング、定量RT-PCRにより測定し、本遺伝子のセルトリ細胞における働きと造精機能における役割を検討する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、精子形成細胞と、セルトリ細胞とライディッヒ細胞を共培養し①カチオニックリポフェクション法、②エレクトロポレーション法、③アデノウイルスベクター法を用いて、Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入を行うことと、遺伝子導入後の精原細胞変化について検討することが、当初の目的であった。しかしながら、①カチオニックリポフェクション法では、その細胞特性と考えられるが、セルトリ細胞とライディッヒ細胞への遺伝子導入ができなかったものと思われる。したがって、この遺伝子導入法は、セルトリ細胞とライディッヒ細胞への遺伝子導入が難しく、不適切とかんがえられた。またエレクトロポレーション法では、おそらく細胞への障害が強く、セルトリ細胞とライディッヒ細胞が死滅してしまったことが理由と考える。さらなる条件設定が必要であると考えられた。アデノウイルスベクター法は効率的な遺伝子導入が期待され、本方法を用いて、Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入を行うこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
アデノウイルスベクター法を用いて、Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入を行った後、cDNAチップを用いてマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、遺伝子導入による遺伝子発現の変化について併せて検討する。遺伝子発現の変化が明らかになったものに関しては定量的RT-PCRにより発現量を定量する。また、マウスへの遺伝子導入法を用いた転写因子Ad4BP/SF-1・DAX-1の精巣内遺伝子導入も合わせて進める。精巣への遺伝子導入方法としては、私たちがこれまでに開発した、精巣へ直接陰嚢を経由して導入する方法(精巣内直接注入法)と精巣網からマイクロガラス管を用いて逆行性に精細管内に注入する方法(精細管注入法)を用いて行う。アデノウイルスベクター法を用いて、Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入を行う。 Ad4BP/SF-1およびDax-1を遺伝子導入することにより、発現量および発現期間を確認した上で造精機能への影響、ステロイド合成への影響を検討する。導入効率は、western blottingによりDax-1の発現量を観察することにより行う。造精機能への影響は、Johnsen scoreにて評価する。同時に副作用の有無を確認するために、TUNEL法によるアポトーシスの有無を検討、免疫組織化学染色によりCD4,CD8陽性細胞の発現の有無を観察し細胞性免疫反応の有無の検討、血清IgG抗体の検索による体液性免疫反応の有無を検討する。
|
Causes of Carryover |
Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入がまだできておらず、今後さらなる条件設定で遺伝子導入を行う予定である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
アデノウイルスベクター法を用いて、Ad4BP/SF-1およびDAX-1の遺伝子導入を行った後、cDNAチップを用いてマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行い、遺伝子導入による遺伝子発現の変化について併せて検討する。Ad4BP/SF-1およびDax-1を遺伝子導入することにより、発現量および発現期間を確認した上で造精機能への影響、ステロイド合成への影響を検討する。導入効率は、western blottingによりDax-1の発現量を観察することにより行う。造精機能への影響は、Johnsen scoreにて評価する。
|