2016 Fiscal Year Research-status Report
重合OPNとオートファジーの働きに着目した尿路結石予防薬開発のための基礎研究
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16K20153
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
海野 怜 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 臨床研究医 (40755683)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | オートファジー / 尿路結石 / 腎結石 / LC3 / p62 |
Outline of Annual Research Achievements |
まずシュウ酸Ca結晶を尿細管細胞に添加して重合OPNと、オートファジーの発現を検討した。重合OPNを調べるため細胞を回収しWestern blotを行ったが期待された80kD以上のバンドは出ず、モノマーOPNのみのバンドのみしか確認できなかった。次にオートファジーを調べるためLC3-B、p62のWestern blot、蛍光免疫染色の行ったところ、シュウ酸Caの添加でオートファジーは早期で亢進するが、6時間以上暴露させると低下した。細胞内のミトコンドリア、リソソームの傷害を検討したところ、添加早期では障害は目立たなかったが、6時間以上の添加で傷害が目立った。さらに炎症因子のPCRを行うと、オートファジーが低下し始めると炎症因子が上昇する傾向にあった。 次に結石モデルマウスを用いて重合OPNの発現を調べるため腎のたんぱくを回収OPNのWestern blotを行ったが、培養細胞の実験同様予想された重合OPNのバンドは認められなかった。次に結石形成量とオートファジーの発現を調べるため、細胞内構造を透過型電子顕微鏡で確認、さらに腎組織のp62の免疫染色を行った。結石形成前において、細胞内には多数の傷害を受けたリソソームやミトコンドリアを囲い込むオートファゴソームを認め、p62の発現は低下していた。一方で結石形成後のマウス腎では、傷害を受けたミトコンドリアやリソソームが目立ち、オートファゴソームなどは認めなかった。p62の免疫染色では発現が有意に上昇しており、オートファジーが低下していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞・結石モデルマウスを用いた実験とも、Western blotでは重合OPNの発現が見られず、最初の仮説の段階で結石形成過程において結石中のOPNはモノマーで存在している可能性が示唆された。オートファジーの研究については順調にいっている。培養細胞・動物モデルともオートファジーは結石形成に抑制的に働いている可能性が高いことが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
重合OPNの検討としては、現在追加実験としてマウス以外のラット等で、結石モデルを作成させ重合OPNの存在を検討している。さらにWestern blotに用いるOPN抗体を変更し再度検討中である。オートファジーについては、今後シュウ酸前駆物質の容量を変更し、結石形成量とオートファジーの発現差の観察、さらにはオートファジー促進薬を用いた結石予防効果の検討を行っていく予定である。
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Research Products
(5 results)