2017 Fiscal Year Annual Research Report
A new strategy for the treatment of prostate cancer by targeting vasohibin family
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16K20162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮崎 保匡 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (80445329)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | バソヒビン / 血管新生 / 前立腺癌 / 癌化 / 抗体療法 / 上皮間葉転換 / 血管新生阻害剤 / 癌微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
バソヒビン2は癌細胞と癌組織の血管内皮細胞に発現して血管新生に関与しているとの報告がある。血管新生やリンパ管新生は、癌の浸潤や遠隔転移、リンパ節転移に関係することから、バソヒビンの機能の解明は上皮間葉転換を含めた転移のメカニズムを解明し、癌細胞と癌血管を標的とした新たな治療につながる可能性がある。そのため、前立腺癌においてバソヒビン2の発現調節機構と治療標的となるか検討するために研究を行った。本研究は、バソヒビンの未だ解明されていない発現制御機構を解明し、バソヒビンやその調節因子を含む、癌微小環境を明らかにすることで新しい予後診断方法や、癌細胞と癌血管を標的とした治療薬への臨床応用に展開するための分子基盤の確立を目指して基礎研究を行うものである。 平成28年度は、前立腺癌のバソヒビン2の発現を検討するために、ヒトの前立腺癌の全摘標本を用いて、前立腺癌におけるバソヒビン2の発現を免疫染色にて検討した。バソヒビン2は前立腺癌組織の癌細胞に発現しており、また、癌間質における癌血管にも一部発現が認められた。各種臨床・病理学的パラメーターとの比較では、バソヒビン2の発現は癌の進展や悪性度に関連しており、また術後のPSA非再発生存率に関連していた。バソヒビン2の発現が高いほど、PSA非再発生存率が低下するという結果であった。多変量解析において、バソヒビン2の高発現は、有意な予後因子であることが判明した。 平成29年度は、血管内皮細胞株や前立腺癌細胞株におけるバソヒビンの発現を検討した。バソヒビン1は血管内皮細胞に発現していたが、前立腺癌細胞株では殆ど発現していなかった。バソヒビン2は血管内皮細胞と一部の前立腺癌細胞株で強く発現を認めた。また、バソヒビンを標的とした薬剤投与によって前立腺癌細胞株の細胞増殖抑制効果が認められたことから、バソヒビンが治療標的となりうる可能性が示唆された。
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