2016 Fiscal Year Research-status Report
Beta-2 Glycoprotein Iの腫瘍血管新生抑制効果の検討
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16K20168
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 久子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任助教 (60615342)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | Beta-2-Glycoprotein I / 乳がん / 腫瘍転移 / EGF |
Outline of Annual Research Achievements |
乳癌は、非浸潤癌と浸潤癌とに分けられ、 非浸潤癌では、手術のみの治療だけで治癒できる可能性が高い。しかし一般によくみられるのは浸潤癌で、全身に転移する能力をもった癌である。従って乳癌における浸潤転移能の制御が重要であり、現在手術のみならず薬物療法、放射線療法などの集学的な治療が行われている。これまでにEGFR がGEP100 を介してArf6-AMAP1 経路を活性化し、浸潤転移を促進する事が示されており、今後この経路をターゲットとした癌の新規標的治療の開発が期待される。 平成28年度は乳がん細胞株に対するB2GPIの効果を検証した。B2GPIはEGF-EGFRの反応を阻害し、EGFRのリン酸化に伴うシグナルの活性化およびリン酸化EGFRの核内移行を阻害することを明らかにした。阻害されるEGFRのリン酸化部位の一部を特定したが、B2GPIのEGF-EGFRに対する作用メカニズムは特定できていない。 またEGFRリン酸化に伴うARF6の活性化と細胞間透過性も抑制し、Snail や Slug などの 上皮間葉移行(Epithelial-Mesenchymal Transition、EMT) 関連遺伝子の発現を低下させ、細胞間接着分子であるE-cadherinの減少とエンドサイトーシス、カドヘリンスイッチングを抑制した。このことからin vitro 検討ではB2GPIは乳がん細胞の浸潤性と運動性を阻害することが示唆された。EMTを制御することからB2GPIは腫瘍転移を抑制できるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に想定したエフォートの変化等があり、作用メカニズムの詳細は特定できていないものの、腫瘍細胞への効果、特にEGFR以降のシグナルの抑制を検証し、一定の効果を証明した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年はin vitroでB2GPIの機能性のドメインを特定し、EGFRに対する作用メカニズムの詳細を探索するとともに、in vivo乳がん細胞転移モデルマウスを用いて、移植腫瘍、リンパ節および肺の転移の評価、腫瘍細胞のアポトーシスおよびDNA 合成、腫瘍内の微小血管密度転移抑制効果を解析する。
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