2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜症由来不死化細胞への性ホルモン受容体の遺伝子導入による病態解析
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16K20180
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
保野 由紀子 金沢大学, 附属病院, 助教 (80565416)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不死化子宮内膜間質細胞 / ステロイドホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は不死化子宮内膜間質細胞株の樹立、不死化細胞への各種性ステロイドホルモン受容体の遺伝子導入、遺伝子導入上皮および間質細胞に対する性ステロイドホルモン作用の解析を行なうことを計画した。 文書により同意を得た患者の手術検体から得た卵巣チョコレート嚢胞壁から間質細胞を分離し、レンチウイルスベクターシステムにてCDK4/TERTまたは、TERTのみを遺伝子導入して安定的に継代可能な不死化細胞株を樹立した。上皮細胞マーカーとしてサイトケラチンを、間質細胞マーカーとしてCD10をRT-PCRおよび免疫細胞染色にて確認したところ、どちらの不死化細胞株も間質由来であることを確認した。次に子宮内膜症の進展発育に大きな影響を与える性ステロイドホルモンの受容体を解析した。RT-PCRおよびWestern blotによる解析ではEstrogen receptor (ER)α、Progesterone receptor (PR)B陽性であったが、PRAの発現は認められなかった。この細胞株にプロゲスチン製剤であるMPAを投与し、細胞増殖を確認したところ、内膜症組織に特有の有為な細胞増殖抑制効果を確認した。 以上より、子宮内膜症病巣由来の不死化子宮内膜間質細胞株を樹立し、以前より作成している不死化上皮細胞とともに子宮内膜症の病態を解明する培養実験系を確立した。 次に不死化細胞への各種性ステロイドホルモン受容体の遺伝子導入だが、不死化上皮細胞にERα、PRA、PRB、不死化間質細胞にERαを導入した。今後、これらの細胞に対する性ステロイドホルモン作用の解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は不死化子宮内膜間質細胞株の樹立、不死化細胞への各種性ステロイドホルモン受容体の遺伝子導入、遺伝子導入上皮および間質細胞に対する性ステロイドホルモン作用の解析を行なうことを計画した。まず、子宮内膜症病巣由来の不死化子宮内膜間質細胞株の樹立はできた。ここまでは順調に進んでいる。次に不死化細胞への各種ステロイドホルモン受容体の遺伝子導入だが、ここで遺伝子導入が予想よりもスムーズに導入できていないため、当初の計画よりもやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
子宮内膜症病巣由来の不死化子宮内膜間質細胞株は、ERβの発現がWestern blotにて確認できなかった。そこで、ERβ強制発現株を作成しようと試みたが、作成した細胞株はERβの発現が弱かった。この理由として、発現効率が悪い等が考えられる。そこで、遺伝子導入効率をあげるために、今までは、リポフェクション法によるtransfectionをしていたので、electroporation法による導入を行うことを今後、考えている。 また、不死化上皮細胞にERα、PRA、PRBは導入でき、不死化間質細胞にERαは導入できている。そこで、今後、これらの細胞に対する各種ステロイドホルモン作用の解析、遺伝子導入上皮および間質細胞で発現変化する遺伝子群のスクリーニング、不死化上皮と間質細胞および不死化間質細胞とHUVECの共培養系を用いた解析、合成ステロイド剤の作用の解析をする。さらに上記の検討で得られた知見に関して子宮内膜症検体を用いて確認し、子宮内膜症の病態に対応した個別的かつ効果的な治療法開発の可能性を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
学会参加を予想よりはしなかったため、次年度使用額が生じたものと思われる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
抗体等の、物品に使う予定。
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