2016 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるMig-6の機能とMPA、HDAC阻害剤併用効果の検討
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16K20183
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安藤 大史 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80722925)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 若年子宮内膜癌 / 黄体ホルモン療法 / ヒストン脱アセチル化酵素 / 妊孕性温存療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜癌(EC)臨床検体の免疫染色にて、低分化型類内膜腺癌は高分化型類内膜腺癌に比較してMig-6タンパクの発現が低いことが判明した。また、MPA療法を行った異型子宮内膜増殖症組織では、MPA療法施行前に比べて施行後の検体においてMig-6発現が増強しており、さらに再発時の検体においてはMig-6発現が非常に低かった。 10種のEC細胞株のMig-6発現をrealtime-PCR法にて調べると、低分化型EC由来細胞株では高分化型EC由来細胞株に比べて低発現であった。今回、この中でIshikawaをMig-6高発現株、HEC1Bを中等度発現株、AN3CAを低発現株として選定した。Ishikawa、HEC1B、AN3CAに対してMig-6 cDNAを導入し強制発現細胞を作成したところ、WST-1 assayでのcell viabilityはそれぞれ低下した。Ishikawa、HEC1BにMig-6に対するsiRNAを用いて発現抑制を行ったところcell viabilityは上昇した。また、progesterone receptor(PR) cDNAを導入したIshikawaにMPAを添加したところ、野生型Ishikawaでは見られなかったMPAへの反応(cell viabilityの減少、Mig-6発現の上昇)が見られるようになった。このPR強制発現Ishikawaに対するMPAのcell viability減少の効果は、Mig-6 siRNAの導入により減弱した。 以上のようにMig-6がPRの下流分子としてEC細胞株のcell viabilityを抑制する機能を持っていることが明らかになってきており、今後はHDAC阻害薬によるPRおよびMig-6発現の変化を明らかにするとともに、MPA療法の補助としてのHDAC阻害薬の可能性について検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
臨床検体を用いた免疫組織化学染色で異型子宮内膜増殖症および類内膜腺癌におけるMig-6の発現状況が明らかになった。また、類内膜腺癌細胞株においてMig-6の強制発現および発現抑制を行うことによりMig-6の機能が確認されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画通りに進める。現在、子宮内膜癌細胞株Ishikawa、HEC1BおよびAN3CAに対して3種類のHDAC阻害薬、すなわちpanobinostat (LBH589), trichostatin A (TSA), suberoylanilide hydroxamic acid (SAHA)を添加し、PRおよびMig-6RNAおよび蛋白発現の変化、cell viabilityの変化を確かめる実験に着手している。また、MPAおよびHDAC阻害薬の併用により子宮内膜細胞株のcell viabilityの変化を確かめる。これらを通して、MPA療法の補助としてのHDAC阻害薬の可能性について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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