2017 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜癌におけるMig-6の機能とMPA、HDAC阻害剤併用効果の検討
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16K20183
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
安藤 大史 信州大学, 医学部附属病院, 助教(診療) (80722925)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮内膜癌 / 若年子宮内膜癌 / 黄体ホルモン療法 / ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬 / 妊孕性温存療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜癌(EC)臨床検体でのMIG6発現は、高分化型類内膜腺癌で強く、MPA療法後に増強していたが、再発時には減弱していた。またMIG6低発現細胞株HEC1B、AN3CAにMIG6遺伝子を導入して高発現させると細胞増殖の減弱が認められ、高発現株IshikawaにsiRNAでMIG6発現を抑制すると、細胞増殖能の増強を認めた。プロゲステロン受容体(PR)遺伝子導入でPRを高発現させたIshikawa細胞では、MPAによるMIG6発現増強を認め、さらにWST-1 assayで生存細胞の減少を認めたが、この効果はMIG6発現抑制で減弱した。 ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤(HDACi)投与により、Ishikawa、HEC1B、AN3CAのいずれもPR、MIG6発現の増強を認めたが、その作用は特にPanobinostat(LBH589)で強かった。PR発現のないHEC1B細胞に対し、メドロキシプロゲステロン酢酸(MPA)100nM単独投与では増殖抑制効果をほとんど示さないが、LBH589 10nM併用により相乗的に細胞増殖抑制とアポトーシス誘導効果を示した。さらにHEC1Bマウス異種移植腫瘍に対しても、MPA単剤、LBH589単剤、MPA+LBH589併用で比較すると、これまでのところ、MPA単独で約25%、LBH589単剤で約30%、両剤の併用で約75%の腫瘍増殖抑制効果が観察され、in vivoにおいても相乗的な腫瘍増殖抑制効果を示すと考えられる。また摘出腫瘍の免疫染色においては、LBH589投与群で無治療対照群に比較してMIG6発現増強とKi67陽性細胞の減少傾向が観察され、LBH589はMIG6発現増強を介して、MPAの効果を増強する可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養細胞実験、動物実験ともにMPA+LBH589併用で相乗的な抗腫瘍効果を観察できている。Ishikawa細胞で安定した異種移植腫瘍が形成されず、行えていなかったが、細胞接種法の工夫で改善できており、すぐに開始できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に当初の計画通りに進める。動物実験では細胞種を増やし、MPA+LBH589併用効果、副作用等について、検討を進める。患者由来腫瘍異種移植片、子宮内膜癌発がんマウスでの検討も計画している。これらを通して、MPA+LBH589併用の可能性について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。
次年度使用額は平成30年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)