2017 Fiscal Year Research-status Report
間葉上皮転換(MET)モデル作製とモデルを用いた生体内MET分子制御機構の解明
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16K20189
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高尾 知佳 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (40612429)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 間葉-上皮転換 / MET |
Outline of Annual Research Achievements |
間葉-上皮転換(MET)現象は、間葉系細胞が組織浸潤を行い、再度上皮様構造を形成する状況が想定される。そこで子宮内膜症モデル動物において、発光タンパク質と蛍光タンパク質を同時に発現するレンチウイルスベクターを構築した。Cytokeratinなどの上皮細胞特異的プロモーター領域を導入し、METを起こすと化学発光を確認できる系を作製した。 上皮由来の子宮癌細胞株であるIshikawa細胞や子宮内膜腺細胞株であるHemo1に導入し、IVISで化学発光を確認した。さらに子宮内膜間質細胞株であるTHESCや不死化骨髄由来間葉系幹細胞株UE6E7T-11に導入し、化学発光が認められないことも確認した。これらのことから、今回作成したベクターはMET解析に使用できることを確認できた。 これまで超免疫不全マウスNSGマウスに間葉系幹細胞誘導子宮内膜症モデル細胞を移植した際にMETを起こしたものを蛍光免疫染色法で確認していたが、現段階ではプロモーター活性が認められる結果は得られていない。誘導されている細胞の量が少ない可能性もあることから現在、別の手法を検討している。 しかしながらin vitroモデルの作成に伴い、間葉系幹細胞誘導子宮内膜症モデル細胞においてCKプロモーター導入細胞に関して化学発光が認められた。現在通常の細胞と誘導細胞におけるマイクロアレイ解析を行う準備を行っている。また昨年Cellより子宮内膜上皮細胞のOrganoid培養法について報告されたことから、現在、この方法を用いて腺管構造を形成できるin vitroモデルを作成できないか検討を行っている。さらに現在、数種類の薬剤を用いて強制的METモデルの作成についても検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
In vivo 及びin vitroモデルが完成していないこと、MET制御因子の同定に至っていないことから、「やや遅れている」とする。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroモデルで誘導が認められる細胞についてリアルタイムRT-PCR及びウエスタンブロット法を用いてMETが起きているのかについて確認を行う。また既存薬を使用してMETの評価も行い、両者ともにMETが起きている可能性が示唆されればDNAマイクロアレイ等の解析を行い、MET制御に関与する鍵因子の同定を試みる。 In vivoモデルに関しては腎被膜下移植などより細胞の成長が促される場所での検討を行う。細胞の増殖が認められればその構築された組織から、細胞で発現している蛍光蛋白と上皮特異的な表面抗原を認識する蛍光標識抗体の組み合わせにより、セルソーターを用いて自発的にMETを起こした細胞のみを純化して回収をおこなう。単離した自発的MET細胞と、METを起こす前の細胞をNSGやDNAマイクロアレイ等の解析を行い、MET制御に関与する鍵因子の同定を試みる。In vitroまたはin vivoで同定したMET制御の鍵因子と予想される候補因子について、強制発現や発現抑制、また入手可能であれば機能亢進/阻害薬剤等を用いるなどの手法によって、MET制御機構への関与を明らかにする。
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Causes of Carryover |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果と行う予定であったDNAマイクロアレイを行っていないこと、さらにin vivoモデルが難航した結果である。適宜必要な動物(超免疫不全マウス)やマイクロアレイ等の解析、消耗品等に充てていく。
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