2016 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣顆粒膜細胞の黄体化に伴うVEGF遺伝子発現のエピジェネティクス制御
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16K20192
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
澁谷 文恵 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50759686)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 黄体 / 血管新生 / VEGF |
Outline of Annual Research Achievements |
LHサージ後の黄体形成には速やかな、血管新生が重要である。黄体は妊娠の成立・維持に不可欠な内分泌器官であり、活発なプロゲステロン合成のためにはその基質であるコレステロールや黄体刺激物質を黄体細胞に供給する必要があるし、また合成されたプロゲステロンを血中に運搬するため、黄体には高度に発達した血管網の構築が必要となる。LHサージ前には血管は内莢膜細胞層に限局して見られるが、LHサージ後に基底膜が融解するとともにVascular Endothelial Growth Factor (VEGF) の刺激により血管内皮細胞が増殖し、血管は顆粒膜細胞層へ侵入し、非常に短時間で血管新生が完成する。申請者はLHサージ後の黄体形成に伴う血管新生の経時的変化と、VEGF遺伝子がLHサージを契機として短時間で急速に増加することを既に確認している。近年、遺伝子発現は単に転写因子のみで調節されるのではなく、転写因子の受け手側である遺伝子プロモーター領域の変化、すなわちDNAメチル化やヒストン修飾に代表されるエピジェネティックな調節機構によっても制御されることが明らかとなっている。ヒストン脱アセチル化酵素 (HDAC) やH3K27メチル化酵素であるEZH2は様々な分野で研究が進んでおり、その酵素の制御も徐々に解明されている。しかし、LHサージ後にどのようなヒストン修飾酵素がVEGF遺伝子プロモーター領域にリクルートされ、その領域のヒストン修飾変化に関与しているのかは全くわかっていない。そこで、LHサージによる顆粒膜細胞の黄体化によってVEGF mRNA発現が急速に増加するのに伴い、VEGF遺伝子プロモーター領域におけるDNAメチル化やヒストン修飾などがどのように変化するか、またそれに伴うプロモーター領域のクロマチン構造や各転写因子の結合およびヒストン修飾酵素のリクルートの変化を明らかにする。
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