2017 Fiscal Year Research-status Report
医原性卵巣機能不全に対する妊孕性温存を目的とした卵巣組織凍結・再移植の基礎的研究
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16K20197
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| Research Institution | Nagasaki University |
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Principal Investigator |
村上 直子 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (30768718)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | がん生殖 / 妊孕性温存 / 卵巣組織凍結 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
がん治療における性腺障害性を有する抗がん剤を用いた治療や，性腺を照射野に含む放射線療法は，医原性の卵巣機能不全を惹起し，難治性の不妊症の原因となり得る．また，女性ホルモンの欠落症状による骨粗鬆症や動脈硬化および心血管系疾患に罹患するリスクが増加する．がん治療の進歩により生命予後は大きく改善され，それに伴い治療後の女性のQOLが注目されるようになった．治療の前後に生殖機能(妊孕性)を温存することは，がん治療を受ける女性のQOLの改善に大きく貢献するものと考えられる．妊孕性温存の方法として胚凍結や未受精卵子凍結では調節卵巣刺激が必要だが，卵巣組織凍結は比較的迅速に施行可能である点，大量に卵胞を温存できる点，融解後に体内に再移植した際に自然月経の再開と自然妊娠が望める点で優れている．一方で移植後の卵巣組織では原始卵胞が著明に減少し，卵巣機能を維持できる期間が短いことが指摘されている．これらには卵巣組織への低酸素ストレスや，再灌流後障害が関与していると考えられている．本研究では，婦人科疾患で手術が必要な症例からインフォームドコンセントを得て卵巣組織を生検し凍結させた後に融解し，ヌードマウスの腹腔内に移植するモデルを作出し，卵巣組織の凍結および移植が卵巣皮質中の卵胞および間質細胞に与える影響を組織学的あるいは分子レベルで客観的に評価することを試みる．また，ヌードマウスに血管新生や血行を促進する薬剤を投与し，卵巣組織の機能保持に有用な薬剤を明らかにしたい．さらに，移植部位別に卵胞の保存状態を組織形態学的に評価し，卵胞発育に適した環境について検討する．平成29年度は平成28年度に収集・凍結した検体を融解し，ヌードマウスの腹腔内に移植した．移植後4週間で組織を回収した群と移植後3ヶ月で組織を回収した群とに分け卵胞および周囲間質の組織構築を検討した．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の検体収集数が目標数に達しなかったため，今年度の前半は組織収集に努めた．採取した組織をガラス化法および緩慢凍結法により凍結し，凍結手技は問題なく行えた．融解した卵巣組織を凍結法別にヌードマウスの腹腔内に移植したモデルを作出し，摘出した組織片の検討を行ったが，薬剤投与モデルを作出するには至らなかったため，予定した進捗状況よりもやや遅れていると判断した．
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| Strategy for Future Research Activity |
ガラス化法または緩慢凍結法を行う際に，血管新生を促進する薬剤や血行を促進する薬剤など卵巣組織の保護作用の観点から着目した物質を投与したモデルを作成する．これらを移植後28日目と移植後3ヶ月目に摘出し，組織形態学的な変化について検討する．薬剤を投与しなかった群とも比較し，薬剤がどのような組織形態学的な変化を与えるか，また，移植期間による組織形態学的な差異についても検討する．さらに，移植モデルと並行して凍結・融解のみを行った卵巣組織とも比較・検討する．
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| Causes of Carryover |
(理由)今年度に行う予定であった研究に必要な物品購入に計上した予算を，研究計画遅延のため次年度使用が生じた．
(使用計画)次年度は今年度の未使用分もあわせて，動物実験に必要な費用や，研究発表および情報収集のための学会参加費に充てる予定である．
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