2016 Fiscal Year Research-status Report
動脈硬化リスクを軽減する新規ホルモン補充療法確立のための基礎的エビデンスの構築
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16K20201
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
伊藤 文武 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60756849)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ホルモン補充療法 / 動脈硬化 / 接着因子 / ドロスピレノン / ジエノゲスト |
Outline of Annual Research Achievements |
閉経後女性に対して行われるホルモン補充療法(HRT)の最大の問題点は、心血管イベントの増加である。われわれはこれまでに、HRTに最も頻繁に使用されている合成プロゲストーゲンである酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA)が動脈硬化の形成に重要となる血管内皮への単球接着を促進させ動脈硬化発症のリスクとなることを明らかにしてきた。本年度は新規合成プロゲストーゲンであり、月経困難症に使用されるドロスピレノン (DRSP )および子宮内膜症の治療に用いられるジエノゲスト (DNG)を用いてヒト臍帯静脈血管内皮細胞における接着因子発現への影響を検討した。結果、DRSP単独添加およびエストラジオール(E2)との同時添加群で接着因子(E-selectin、P-selectin、ICAM-1、VCAM-1)のmRNA発現量は対照群に比し有意な変化は見られなかった。DRSP単独群、DRSP+E2群ともに接着因子タンパク発現量は対照群に比し有意な変化は見られなかった。DNGにおいても同様に、単独添加群およびE2との同時添加群で接着因子のmRNA、タンパク発現は対照群に比し有意な変化は見られなかった。さらに、flow chamber systemを用いた単球の接着実験において、DRSP+E2群およびDNG+E2群では血管内皮細胞への単球の接着数が減少した。以上の結果から、MPAと異なり、DRSPとDNGの単独投与およびE2との併用は、血管内皮接着因子の発現を増強せず、単球接着も促進させないことから、動脈硬化発症に影響を及ぼさない可能性が示唆された。DRSPとDNGはより安全にHRTに用いることのできるプロゲストーゲンの候補となりうる可能性が見出された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部は学会発表や論文投稿を行なっており、当初の計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
エストラジオール、エストロン、エストリオール、エステトロール等のエストロゲンによる接着因子発現への影響を検討する。
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Research Products
(5 results)