2018 Fiscal Year Annual Research Report
Pivotal roles of CCR5 for the tumor progression in ovarian cancer
Project/Area Number |
16K20202
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
小林 彩 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (50596971)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | CCR5 / 線維化 / 血管新生 / マクロファージ / 線維芽細胞 / truncated CCL5 vector |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌は約半数以上がadvanced stageで発見され、進行症例に対する治療法は腫瘍減量手術と化学療法であるが、大半が再燃し長期予後の改善を認めない。癌の増殖・進展には癌微小環境の構築と宿主免疫機構からの逃避や免疫寛容の獲得が必須である。癌細胞と間質細胞の相互関係、癌の増殖進展の分子メカニズムについて解明することが、難治性症例に対する新たな治療戦略確立の一助となる。申請者らはケモカインレセプターの1つであるCCR5に着目し、卵巣癌微小環境における病態生理学的役割を解明し、卵巣癌に対する新規分子標的治療の確立を目指すことを本研究の目的とする。 H28年度では、in vivo実験とし、マウス卵巣癌細胞株ID8細胞を野生型マウス(WT)、CCR5ノックアウトマウス(KO)の腹腔内/皮下に移植し、KOはWTと比較し、腹膜播種、皮下腫瘍、腹水量は有意に減少し。またKOで生存期間が延長する傾向を確認した。 平成29年度は癌/間質細胞の相互関係を解明するため、癌増殖因子など種々のサイトカインやケモカインの発現を検討した。腫瘍組織内のVEGF、MMP2、t-PA、Col1a1、HGF、FGFの遺伝子発現レベルはKOで有意に抑制され、またKOでは腫瘍組織内へのマクロファージの浸潤、線維化、血管新生が有意に減弱した。腫瘍組織内のマクロファージと線維芽細胞はともにCCR5を発現していた。 平成30年度はWTにID8細胞を皮下移植し、3日後にCCR5のリガンドに対して競合作用をもつtruncated CCL5ヴェクターとコントロールヴェクターを静脈内投与し、腫瘍発育について比較検討を行い、truncated CCL5 vector注射群の腫瘍発育が減弱し、truncated CCL5の腫瘍発育抑制効果が確認できた。
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