2018 Fiscal Year Research-status Report
子宮内膜間葉系幹細胞の活性化と再生による妊孕能獲得メカニズムの解明
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16K20208
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
村上 圭祐 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90597064)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脱落膜化 / 子宮内膜再生 / コロニー形成能 / progesterone withdrawal |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトは月経を有する数少ない生物であり、周期的な自然脱落膜化反応と月経が受容能獲得に重要なステップである。妊娠が成立しなかった際には黄体の消退に伴い血中のプロゲステロン濃度が急激に低下(progesterone withdrawal)することで子宮内膜機能層の剥奪(月経)が引き起こされる。我々は、子宮内膜異常に起因する不妊症の原因は、月経期の幹細胞の活性化不全に始まっており、適切に子宮内膜再生の刺激が惹起されないことが影響していると推測している。本研究では、子宮内膜の脱落膜化とProgesterone withdrawalがその後の子宮内膜再生能に及ぼす影響について解析した。 当院で婦人科良性疾患に対して腹腔鏡下手術を施行した患者5名より同意を得て子宮内膜を採取した。In vitroでヒト子宮内膜間質細胞に脱落膜化刺激(cAMP+MPA)を8日間加え、その後に2日間のProgesterone withdrawalを行った。Control群(脱落膜化刺激なし)、Dicudualization群(脱落膜化刺激あり、Withdrawalなし)、Withdrawal群(脱落膜化刺激あり、Withdrawalあり)の3群間でコロニー形成能を比較したところ、Control群 0.2±0.4、Decidualization群 1.2±0.7、Withdrawal群 1.2±0.6で有意差を認めた(p=0.03)。Withdrawalの有無にかかわらず、脱落膜化刺激を加えることでコロニー形成能は上昇しており、前周期に適切に子宮内膜脱落膜化が行われることが、次周期の子宮内膜再生能に影響することが示唆された。 並行して以下の論文報告を行った。①レスベラトロールが子宮内膜間質細胞の脱落膜化能に及ぼす影響を解析し、CRABP2-RAR経路の抑制を介して脱落膜化反応を阻害することを明らかにした。②ビタミンDが妊娠中の免疫耐性と脱落膜化反応に及ぼす影響を解析し、ビタミンD低下群では血中Th1/Th2細胞比(≧10.3)高値を示す割合が多いこと、ビタミンDの添加で脱落膜化マーカー遺伝子(IGFBP1)の発現が増加することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床業務に追われ、当初予想していたよりも研究に費やす時間を確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Control群(脱落膜化刺激なし)、Dicudualization群(脱落膜化刺激あり、Withdrawalなし)、Withdrawal群(脱落膜化刺激あり、Withdrawalあり)を継代し、再度脱落膜化刺激を加え、脱落膜化能、着床マーカー遺伝子発現といった再生能・胚受容能に関わる因子を解析する。 子宮内膜菲薄化女性に対する新規治療法の開発を目的として、in vitroでControl子宮内膜間質細胞に脱落膜化子宮内膜を添加することで、コロニー形成能や細胞増殖能が改善するか検討する。
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Causes of Carryover |
今年度に行う予定であった実験が進捗の遅れのために一部施行できなかったので、次年度使用額が生じた。 研究延長申請を行い、追加実験に必要な物品費として使用予定である。
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