2017 Fiscal Year Research-status Report
新規マイクロ流体チップを用いた子宮がんCTCの診断マーカー開発
Project/Area Number |
16K20210
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大久保 はるな 順天堂大学, 医学部, 非常勤助手 (40721551)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 血中循環癌細胞 / 子宮頸がん / 子宮体がん / 腫瘍マーカー / マイクロ流体チップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,本邦初のマイクロ流体チップを用いた子宮がん診断のための血中循環癌細胞(CTC)捕捉システムの臨床応用である.子宮癌,卵巣癌は骨盤内に癌が浸潤しやすいため,末期での発見が多く手遅れになりやすい事などから,早期発見が特に強く望まれる.一方,既存の採血による腫瘍マーカーによる検出率は低いため,採血で容易に,かつ早期に高確率で発見する新たなシステムの確立が早急に求められている. 既存のCTC検出機器は,抗体を自由に設定できず,捕捉率も悪い上に高価なため開発には不向きである.本研究では,こうした状況を打開するため,新開発CTCチップを用いた検出法の子宮がんへの臨床応用を目指している.申請者はこれまで細胞株を用いて,子宮がん細胞の本チップにおける検出を試み,H29年には細胞株においてCTCを補足することを確認したうえで,子宮頸がん,体がんの様々な癌細胞株からモデル候補と捕捉用抗体候補を絞り込んだ.子宮癌においては他のがんと異なりこれまでEpCAM高発現を利用した既存捕捉法があまり適応されていないことから,本研究においてのCTCチップの処理法や捕捉条件などを新規に検討,婦人科がんのCTC捕捉システムを最適とする条件の検討をさらに進めている. 本邦初であるこのシステムの実用化により,既存の腫瘍マーカーで検出できなかった子宮がんが採血で容易に診断できれば,即応的に治療に貢献することができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では新開発CTCチップを用いた検出法の子宮がんへの臨床応用を目指し,細胞株を用いて,子宮がんの本チップにおける検出を行っている.これまでに株細胞におけるCTC捕捉率を確認,捕捉率向上をめざしシステム改良を進めた.すでに細胞株を用いCTCを捕捉可能であることを確認し,子宮頸がん,体がんの様々な癌細胞株を検討,CTCモデル候補細胞株と,捕捉用抗体候補を絞り込んでいる.以上から,本研究は概ね順調に進んでいると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
新開発のマイクロ流体CTCチップを用いたCTC検出法を子宮がんに臨床応用することを目標として本研究を進めてきた.今後申請者は,子宮頸がん,子宮体がん,子宮内膜癌など各癌腫について特性の異なる複数のがん細胞株を新規に適用し,さらに異なる捕捉抗体を用いて捕捉率を検討する予定である.これによって子宮頸がん,体がん,内膜がんにおけるCTCが高率で捕捉される条件を検討する.すなわち様々な形質の子宮癌のCTCを高率で捕捉・検出することを可能にし,マイクロ流体CTCチップを用いたCTC捕捉による感度の高い子宮癌診断システムの確立を目指す.さらに臨床採血検体を用いてこのシステムを適用し有用性を評価していく予定である.
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Causes of Carryover |
これまで研究室既存のがん細胞株を用いて研究を進める事ができたため,細胞株や試薬の購入費用に余剰が生じた.またデーター解析について、今年度はアルバイトを雇用することなく主に研究代表者が行ったことから人件費が発生しなかった.また購入を予定したレザープリンターについて設置場所そのほかの事情から,やむを得ず次年度に持ち越したため次年度使用額が生じた. H30年度は新規にいくつかのがん細胞株と抗体を用いて捕捉条件を検討,捕捉システムを改良し,様々な形質の細胞株の捕捉,捕捉率向上をめざす.このために試薬類の購入が必要である.また最終年度を迎え作業量・データーの増大に伴い,補助者・アルバイトの雇用が必要となる.
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Research Products
(2 results)