2017 Fiscal Year Research-status Report
脂肪組織由来幹細胞を用いた効率的な卵巣組織移植法の開発
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16K20216
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
高江 正道 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (00621301)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 卵巣組織移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、本研究費を用い、脂肪幹細胞を用いた効率的な卵巣移植法の開発を立案・遂行している。現在、昨年に引き続いて脂肪幹細胞をより効率的に抽出し、卵巣移植の際に最も適切な方法で脂肪幹細胞を投与し、脂肪幹細胞投与が卵巣移植をより効果的なものにする方法を検証中である。また、その効果を評価するにあたって、光干渉断層計などの新しい機器を用い、卵巣移植法の効果を検証するための新手法を模索している。しかしながら、2018年にHuman Reproduction誌において、Adipose tissue-derived stem cells in a fibrin implant enhance neovascularization in a peritoneal grafting site: a potential way to improve ovarian tissue transplantationとして、我々と同様の研究テーマに関する成果が他施設から報告された。このことは、我々が提唱した仮説が実証されたことを示唆するものである。報告の内容を確認したところ、その効果はいまだ限定的であり、血管新生が促進されたことのみを示すものであり、卵巣移植そのものの効果をはっきりと改善しているとは言い難い。そのため、我々はさらに脂肪幹細胞投与の効果を最大限強調するための方法論の確立や評価方法の確立を含めた検証を進め、移植された卵巣の機能が長期的に維持される方法や、採卵率ならびに生児獲得率などの、生殖医療としての効果について実証してゆく。また、それらによって得られた産仔の流産率や形態異常の有無、性差の発生の有無、生殖機能の維持などの安全性についても検証を進めてゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、脂肪幹細胞の効率的な抽出方法に加え、さらに質の高い卵巣移植法や評価方法をもって我々の仮説を立証するための研究を並行して進めている。そのため、本研究の進捗状況としては予定よりも遅れているといわざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年にHuman Reproduction誌において、脂肪幹細胞投与が卵巣移植に対して有効に作用する新しい知見が報告された。我々が当初本研究費を用いた研究で予定していた部分が他研究者によって実証されてしまったわけであるが、我々はさらに脂肪幹細胞投与や培養の方法を改良し、脂肪幹細胞が卵巣移植効果を最大限に改善する方法論を確立するための研究を進めてゆく。
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Causes of Carryover |
申請者らは、脂肪幹細胞の抽出方法に加え、本仮説を立証するために最も適切な卵巣移植方法や画像診断などの評価方法など、包括的な観点から本研究を進めている。そのため、研究全体としては遅れている。次年度は、脂肪幹細胞をより活性化する方法、より脂肪幹細胞の効果を強調する方法も併せて研究する方針としている。
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