2018 Fiscal Year Annual Research Report
elucidation of acquired cholesteatoma signaling network using genomic and proteomic analysis
Project/Area Number |
16K20221
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 篤 北海道大学, 大学病院, 医員 (70609742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 後天性真珠腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
後天性真珠腫は、角化扁平上皮Keratinocyteの異常増殖により側頭骨に生じる境界明瞭な非腫瘍性病変である。後天性真珠腫は局所浸潤性で中耳破壊の原因となり、頭蓋内合併症により死亡する可能性がある。これまで多数の研究が行われてきたにもかかわらず、後天性真珠腫の発症原因は未だ明確にされておらず、依然として根本的治療は外科的治療のみである。 真珠腫は腫瘍ではないが新生物に類似した臨床的特徴を示す。これまでの報告から、真珠腫は細胞過剰増殖へとバランスが変化し、浸潤・骨溶解作用が増強された、制御不能な細胞増殖の一例であると考えられている。細胞増殖の調整不全には、細胞内部のゲノム異常やエピジェネティックな変化や外部刺激が関与していると考えられ、この反応には細胞内外の様々なシグナル伝達カスケードが関与すると考えられる。 本年度は、Notchシグナル伝達経路に着目し、リアルタイムPCRを用いて中耳真珠腫におけるNotchシグナル関連遺伝子の発現解析を行った。その結果、中耳真珠腫上皮は正常外耳道上皮に比べて、有意にNOTCH1の発現低下を認め、その標的遺伝子であるHES1の発現低下傾向も認めた。しかしながら、中耳真珠腫上皮、および正常外耳道上皮において、免疫染色にてNotch1の発現を確認したところ、いずれの上皮においても強い発現が認められた。ただし、1検体あたりから採取できるサンプルが非常に小さいため、十分な免疫染色サンプルを確保することができず、免疫染色によるNotchシグナル関連分子の発現については、今後の検討課題としたい。また、中耳真珠腫上皮、および正常外耳道上皮において、免疫染色にてEGFRの発現を確認したところ、いずれの上皮においても一定の発現が認められた。
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